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第225話 「WTCCルックへ〜牽引フックの取付検討」
(作成:2007年9月30日 改訂:2007年10月1日)
(TEXT & PHOTO : 中橋 / E90-320si & MINI Cooper Convertible)
「God is in the details」(神は細部に宿る。)なんて言いますけど、
やっぱりやるからにはディテールにもこだわりたいものです。
今回はWTCCワークスマシンの「牽引フック」に焦点をあててみたいと思います。
もともとE90標準の牽引フックは見てのとおりほんとに普通のフックで、
万が一のときに前後バンパーについている蓋をあけてねじ込んで使用するデザインです。
そしてちまたでよく見かける競技用の牽引フックって、こんな感じですよね。
これは角度が変えられる凝ったものですが、単なる金属板だけでデザインされた
シンプルなものも車種別に売られていたりします。
色も赤いものが多いですが、黄色や金属剥き出しのものが売られています。
これ、アルミの製品を持ってみても結構重く感じたりします。
雰囲気は最高です。BMWでもつけている人多いですよね。
一方、JAF国内競技車両規則第4章第8条によれば、
牽引フックは純正品、社外品を問わず必ず装着が義務付けられています。
スポイラー装着車両は、牽引フックがスポイラーに覆われた状態にならないよう
加工または、外付けの施しが必要となっています。
さらに、BMW乗りが注意しなくてはならないことは、
「ネジ込み式の純正フックは、走行中突起物となり危険をもたらす場合があるため
緊急時に取り付けできるよう車内(ダッシュボード)に常備携帯すること」
というルールです。
つまり、BMWにおいてはバンパーよりも牽引フックが突き出てしまうので
取り付けるのは本来だめで、いざコースアウトして牽引されるときにダッシュボードから
フックをねじこんで使えってことですよね・・・。
なるほどねぇ・・・。
それでWTCCワークスマシンが特殊な牽引フックを使っているわけがわかりました。
常にバンパートゥバンパーで戦いをしているから、
牽引フックが飛び出しているようでは危ない、ってことなんですね。
そしてもちろん軽量化という観点でもあると思います。
ということでその特殊な牽引フックを以下紹介します。
■フロントバンパー部分
非常に目立たないように赤い突起物があります。
この写真ではよくわからないと思うので次の写真をどうぞ。
引っ張ると出てくる赤いベルト。
これがBMWモータースポーツのWTCCワークスマシンで採用されている
牽引フック、いや牽引ベルトなのです。
カバーが取れた状態を見ると、かなり余裕のあるスペースの中に
この牽引ベルトが取り付けられていることがわかります。
普段はここに隠れているというわけです。
(逆に言うと、市販車はここにこんなに空間がないので
長いベルトは隠せない・・・という問題もあります。)
さらに車両によっては、このベルトを引き出しやすいように
ワイヤーで取っ手をつけているマシンもあります。
■リアバンパー部分
フロント同様、赤くでっぱるベルト。
リヤにもワイヤーで取り出しやすくしているマシンもあります。
カバーがとれればフロント同様かなりスペースがありますね。
そして、リヤのセンター、トランクの下につけている車もあります。
これはこれで渋いなぁ。
ということで探すべきは牽引フックではなく牽引ベルト!です。
金属フックではなくベルトだからこそ車体からはみ出ずに安全な代替品になるわけです。
もちろん、さらに使わないときはしまいこめるためすっきりした外見にもなります。
それになんともマニアックでレーシーな感じがします。
デメリットをあげれば、きちんとした取り付けのためには、
プラスチックのバンパーのフタに切れ目を入れる必要があります。
それにそもそも、狭い空間にどこまで押し込めるのかという技術的な問題は残ります。
ま、それでもとりあえず探して入手したい!
あとはBOB師匠がきっと何とかしてくれるに違いない・・・。
と他力本願で、まずは探しまくることに。
いろいろ見てみましたが、日本でこんなもの作っているメーカーは見当たらず、
海外サイトを探し回る羽目になりました。
しかも、英語でなんていうか、すぐにはわからなかったのでつらかった。
何日か調べまわるうちに、「Tow Strap」または「Towing Strap」と
呼ばれることがわかってきました。
結果、以下2つの商品に絞り込むことができました。
■Motorsport Tow Strap
「Motorsport tow strap」という製品です。
一番ポイントなのは「BMW Motorsport」純正採用品ということです。
ただむやみに長いことと、取付け方法がさっぱり意味不明で、
レーシングカーそのものでない限り我が家のエスアイに取り付けるのは
難しいのではないかと思われます。
ホンモノだからこそつけられるパーツなんじゃないでしょうか、これは・・・。
それと国内でこれを取り扱っているところはなく、
輸入必須なのも面倒です。
■Schroth Tow Strap
こちらは「Schroth Towing Strap」というものでシュロス製の牽引ベルト?
いや、牽引ハーネス?です。
前述の製品よりも、最大12mmまでのボルト用曲げ可能金具がついているのが魅力です。
長さは100mm固定のものと、400mmまで調整可能なのもの2種類が
ラインナップされています。
これで、1800kg以上をひっぱることができるということで、
エスアイをひっぱるには十分な強度があります。
カラーはもちろん赤のみ。
最小サイズ牽引ストラップのドイツDMSB規格(2006技術規格と定義:安全−パートJ)
に適合しています。
国内でも取り扱いがあり、お値段は6500円程度です。
フルハーネスもシュロスを使っているし、これが一番現実的な製品かなと
思い、取り付けられるか調べもせずに2つ発注してみました。
続く・・・
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