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第8話 「Flexible Heart」
(作成:1997年4月9日 改訂:1997年7月18日)
(TEXT : BOND / Z3)
テープを「ジャミロ・クワイ」に交換する。
最近、人から薦められて聴くようになったグループだが、
最初は私にとって「難解な音楽」であった。
それが、今では結構気に入って聴いている。
M44型1.9l In−line 4Cyl. DOHC 16Vは、
ウワサどおり低速からトルクの厚いエンジンで、
街中では非常に扱いやすいマナーの持ち主だ。
それほど、煩雑にシフトダウンをせずともスルスルと車は動いてくれる。
例えば、狭い路地や駐車場内で空いたスペースを探している時、
カセットの入れ替えなどで片手がふさがっている時など、
ギアポジションをそのままにしておいてもそれなりに車は進む。
もちろん、シフトダウンした方が活発に走るのは当たり前だし、
そうするべきキャラクターの車に乗っているのであり、
ミッションの感触もそれを手間とは感じさせない。
(むしろ、楽しい仕事だ。)
しかし、実際にM42型1.8lと乗り比べてしまうと、
素直にいいなぁと感じてしまう。
ただ、M44型の方はまだ馴らし中なこともあるのだろうが、
回転フィールはM42型のほうが「軽い」と感じる。
もちろん、絶対的な動力性能はM44型の方が上だろう。
しかし、吹けあがりやスロットルを戻した時の回転の下がり方などは、
M42型の方が軽快なようだ。
この点は、M44型の馴らしが進んでいくうちにどう変化していくのか、
追ってレポートしていきたいと思う。
おっと、携帯TELが鳴っている。 ちょっと失礼する。
って時に、車の流れが悪くなってきた。 減速だ。
TELの相手は・・・・、残念ながら仕事相手からだ。
TEL中に前走車が再び加速を始めた。
本来ならシフトダウンしたいところだが、あいにくTELで片手がふさがっている。
(マネしないでね。)
仕方なく、ギアはそのままでアクセルを踏み込む。
それでも、ノックコントロールのおかげで、
エンジンがギクシャクすることもなくZ3は加速を始める。
やはり、低速トルクがあるというのはいいものだ。
粘り強さを感じさせられる。
車は「馬力」で動くものではない、「トルク」で動かすものだ。
もともと、剛性面で不利なオープンボディーで、
サーキットをガンガン攻めようとは思わないだろう。
(そういう人には50万安く買えるWRXやEvo.をお勧めする。)
ワィンディングを少し早いペースで流すのがお似合いだ。
そんなシチュエーションでは、特に登りでは太らされたトルクは有用なはずだ。
しかし、だ。
たかだか140psの車に225/50R16のタイヤは
明らかにオーバーサイズだ。
このサイズなら、ドライ路面ではASC+Tが仕事をする機会などないだろう。
さて、海へ向かって高速に乗り入れることにしよう。
最近ではゲートの無人化が進み、発券が自動化されたところが多い。
そんなところではLHD用発券機のあるゲートに進入しなくてはならない。
しかし、ここのICはまだ昔ながらにオジさんが手渡してくれる。
こんな時、LHDでもオープンだと受け取りやすい。
オジさんに寒い中をわざわざ外まで出てきてもらうこともない。
通行券を受け取って、ゲートからランプウェー
(ここのICは本線に直線で上がれるのだ)までフルスロットルで加速する。
が、まだ馴らし中なので、4000rpmでシフトアップしていく。
早く、きっちりレッドまで回したいものだが、そこは我慢。
丁寧に仕上げていかなければ。
4000rpm でシフトアップしていっても、充分以上の加速が得られるし、
このエンジンの素性の良さも感じられる。
さすがは、”エンジン屋”を社名にする会社の手によるエンジン、
スムーズに回転が上がっていく。
トルクの出方も非常に自然だ。
(ただ個人的な見解では、トルクの絶対値は別にして、
出方の自然さではM42型の方がより自然だったとは思う。)
4000rpm以上が今から楽しみだ。
乾いたサウンドを奏でてくれることを期待している。
実際、オープンカーでは、エンジンのメカニカルノイズ、
エキゾーストノートも気分を盛り上げる重要なアイテムだ。
Z3でも、アイドル〜2000rpm ぐらいの低回転時のエキゾーストは、
同じエンジンを積む318ti/isよりも低音に調律されているようだ。
今までの感覚でいうと、少々ファイナルが低いかなと感じる。
5速 100km/h走行時で、レブカウンターは約3000rpmを指している。
現在の標準から言ったら、ずいぶん高めの回転数に思えるのだが。
ストップ&ゴーを繰り返す日本の交通事情に合わせた結果なのだろうか。
まぁ、おかげで、ここでも「不精」を決め込むことができ、5速に入れたままでも
アクセルを踏み込めば加速していってしまう。
休日のこの時間だ、高速の交通量は多くない。
しかし、オープンのまま、あまり飛ばす気にもなれない。
サイドウィンドーを上げ、ウィンドディフレクターを立てているとはいえ、
真冬ではせいぜい100km/hが限界だろうか。
(日本のどこで、それ以上出すのか? などと聞かないように。)
おとなしく左側の走行車線を走ることにする。
ひとりで高速走るのも退屈だなぁ、と飽きてきたところで、
目指すICので出口まであと2kmの案内が出た。
再び一般道を走り出す。
しばらく進むと、おぉ、海が見えてきた!
好きな音楽を聴きながら海岸線をオープンで流すのは、本当に気持ちが良い。
国道から逸れて、コンドミニアム周辺の接続路に入る。
景色の良いところに車を停めて、少し休憩だ。
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