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第30話 「E34−540試乗記」
(作成:1997年12月15日 改訂:1997年12月28日)
(TEXT : そえそえ / E39 528i )
燃料ポンプ交換の間の代車としてE34−540を借りることができました。一つ
前の型とはいってもスタイリングや重厚感ではまだまだ人気の高いE34ですから
興味しんしん。それも540!
代車とはいっても乗る前からどんな車なのか期待と興味でいっぱいです。そして結
果は・・・・BMW初心者なりの感想を交えながらレポートします。
◆車種 :E34−540(右ハンドル)93年式
◆走行距離 :約7万キロ
◆タイヤ :ピレリ 225/60−15
<ぴっかぴかの540>
”代車は540です。”という言葉を聞いた瞬間から修理のことも忘れて私の心は
うきうきでした。一世代前といっても540は540この数字にはなんともいえぬ
魅力があります。528の修理の説明もそこそこに切り上げ駐車場に540を見に
行きます。代車とはいえピカピカに磨き上げられた車は7万キロ走行の5年落ちの車
には見えません。
<室内の雰囲気は>
室内の雰囲気はぜんぜんE39とは違います。洗練されて豪華なE39に対して、
機能性は高いが質素といった雰囲気の内装です。ベニヤ板のような柄の木目パネル
は??ですが、細かいところはまあよしとしましょう。
<エンジンをかける>
S氏の”整備はばっちりです”との言葉通りエンジンは一発でかかりました。がV
8エンジンの音質はアメ車のようでちょっと雑な印象です。(ちなみにE39のV
8は気持ち良い目の詰まった音質に変わってます。エンジンも進歩しているのです
ね。)またアイドリング時にボディが共振して音がこもりぎみなのは気になるとこ
ろです。また燃料ポンプの共鳴音らしき音もかなり大きく聞こえます。軽くブレー
キを踏むとコンソールの当たりから”かちっ”と音がでます。何かのリレーの音か?
とりあえず、アクセルをちょっとあおってみました。フォーン・フォーンとすばら
しい吹け上がりを示します。車は走ってなんぽのもんです。どんなパフォーマンス
を見せてくれるのかいやが上にも期待が高まります。
<市街地走行>
さてDレンジにギアを入れると、するすると車が前に進みはじめます。かなり強め
のクリープ現象です。試しにハンドルをクルクルと回してみます。非常に軽いハン
ドルです。次にハンドルを左右にゆすりハンドルの遊びを確かめます。非常に大き
な遊びがあります。中立点付近では15cm位ハンドルを回しても車がほとんど反
応しません。ありゃ。。。。きっとへたりが来ているのでしょう。これはステアリ
ング方式にも原因があると考えられます。E34のステアリング方式はリサーキュ
レーティングボール式で遊びの量を締め付けトルクで調節できますが、反面すぐ緩
みやすく、年が経つと頻繁な再調整(ひどいのになると2−3ヶ月ごと)をしない
とこのような事態になってしまう事もあるようです。(E39−525/528は
ラックアンドピニオン方式に変更。コスト削減とメンテ費用の軽減のためか。ただ
しこちらの方がカチットしたステアフィールでダイレクト感があり私の好み。E3
9−540はE34と同じリサーキュレーティングボール式)
最初の信号でゆっくり加速します。1速15km、2速20km、3速30km、4速
40km、5速60kmでそれぞれギアがシフトアップされます。80kmほどでギ
アが直結になるようです。それにしてもすごい低速トルクです。普通に流れに合わ
せて加速したのにタコメーターの針はたったの1500rpm!
気が付くと80kmほどに達してしまいました。
足回りは比較的ソフトで乗り心地はE39とあまりかわりません。ロードノイズの
進入も比較的少な目です。予想とは違ったので少々驚きました。
また、このATはあまり調子が良くありません。3速−>4速の時に(オートマオイ
ルが切れかけた時のように)一瞬パワーが抜けた後ガツンとギアが入るのです。ミ
ッションのへたりかもしれません。
次の信号でちょっと強めにアクセルを踏んでみます。比較的ジェントルな加速を見
せますが、ギアの上がるタイミングがE39−`528と比べ物にならないくらい早
い(それだけ加速力が鋭いということ)ので驚いてしまいました。以前アリストの
加速を暴力的な加速と表現しましたが、それは制御不可能な暴走に近い物です。E
34−540の加速は強力だけど自然です。まさに自分の手足のような自然さです
。同じくらいのパワーなのにこれほど表現が違うものかと驚いてしまいました。
その次の信号で前方を確認してフル加速を試みようとしました。ブレーキを踏みな
がらアクセルを軽く踏みスタートダッシュの体制をととのえます。信号が。。。。
。青!アクセルオンIあれっエンジンは回ってるのにぜんぜん前に進まないぞ!.
....なにが起こっていたかはみなさんは御分かりでしょう。公衆の面前で派手
なロケットスタートを決めてしまったわけです。普通に乗っているとジェントルな
のにいざという時にはこのパワー!すごすぎる!AT車でこういう経験ははじめて
でした。
次にハンドリングです。やはり中立付近のハンドルの遊びが大きく微妙なコントロ
ールができないのは最悪です。普通の道をまっすぐ走るだけでもふらふらしていま
す。直進性が悪いのではなく路面にハンドルがとられる訳でもありません。遊びが
大きすぎるため、普段は無意識でやっている微妙な車のコントロールに対して車が
全く反応しないのです。(普段のE39−528だと1cm位のハンドル操作(ほ
とんど無意識にやっている)ですむところをこのE34−540だと10cmは動
かさないと車が反応しない。)ふらつく車に対して意識的にハンドルを当てながら
走るのです。トラックを運転してるみたいです。ほんとですよ。こればかりはいた
だけませんでした。
<高速走行では>
ふらつく車と格闘しながらあるテストコースにたどりつき高速走行を試します。徐
々にスピードを上げていきます。
70−ぬうわkm/hまでのレンジでは、車がふらつく上にひどい振動がでます。(これは
タイヤのバランスが取れてなかった上に、タイヤの銘柄が1輪だけ違い、タイヤの
減りも各輪でバラバラというひどい状態だったのが原因と後に判明)
しかしぬうわkm/hを超えると、さっきまでの振動やふらつきがうそのように消え、矢の
ような直進性をみせはじめます。この領域での高速レーンチェンジも全く不安はあ
りません。この領域での安定性は圧巻でE39に負けてません。むしろよりどっし
りしています。
<感想>
いやぁ。。。E34−540は楽しいですね。結構な距離を乗り回してしましまし
た。ところで全体的な感想をE39と比較しながらまとめたいと思います。
E34とE39を比較した場合特に目立つのは振動や騒音の改善、部品の品質の向
上です。特に静寂性の向上と内装の高級感は劇的な変化があります。コストも削減
されているのでしょうが作り込みがうまくなったのか、それを感じさせる所はあり
ません。
E34のV8エンジンの回転フィールはちょっとがさつかなとも思えましたが非常
にトルクフル。アメ車的な面白さがありました。別の機会にE39の新型V8に乗
せてもらった事があるのですが。こちらの方はBMWらしく高精度でシルキーな回
転フィールのエンジンに仕立てられていて、エンジンも進歩しているな。。。と思
った次第です。
ハンドリングやボディに関しては試乗車のコンディションが悪かったのは残念で、
完調であればもっと楽しめたと思います。が、BMWの歴史みたいな物は感じるこ
とができました。
足回りに関してはE39の方がソフトだと言われていますが、私の場合、空気圧を
高めに設定(F2.3:R2.4)していることもあり、高速域でも同程度の安定性だと感じ
ました。低速や中速域での乗り心地の良さを考慮すると、車の懐が深くなっている
ような気がします。
全体的にはE39ではE34の長所を維持しながら、日本車が得意な静寂性や快適
性をうまく取り入れることに成功しているといっても良いのではないかと思います
。車としての品質やバランスは確実に向上しているといえそうです。
<H.Sさんの感想>
E-34とE-39の比較 楽しく拝見させていただきました。
少しだけ私の意見を述べさせてもらうと、その代車はあきらかに程度がわるいです。
540の場合旧型においてもアイドリング時の振動や騒音は535などの6気筒に
比べ明らかに静かです。たしかにE-39に比べて遮音性にかなりおとりますが振動があ
るということは考えられませんし、アイドリング時に低音を発することはありません。
4Lと4.4Lのちがいは出足のトルクの違いだけというレベルです。
普通完調の540だと6気筒から乗り換えたら旧型でも静かだと感じるはずです。
シャシーについては、たしかにかなりの進歩がありました。
しかしこれもその代車の程度がかなり悪いとしか考えられません。振動や直進安定性
の乱れなどは普通ありません。もっとも進歩したと思われるのは低速域の乗り心地
と限界性能です。新型シャシーでは足が柔らかいのにノーズダイブなどの姿勢変化が
少ない(旧型に比較して)、ロールした後のグリップ力の変化が少なく安心して踏め
ること等だと思います。
私のBMW歴
所有歴
(E-34)535/(E-34)540/(E-38)740
試乗歴
(E-34)525/(E-34)530/(E-39)528/(E-39)540
/(E-38)740(4.0L,4.4L)/3シリーズ除く
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