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第8話 「E28-M535i高速走行時のハンドルのぶれとラジエター破損のお話」
(作成:1998年12月31日 改訂:1999年1月9日)
(TEXT : 鉄のクラウス / E28-M535i )
購入後1ケ月、走行約1000kmを経過し、この87年式M535iにも結構慣れたのです
が、この時点では首都高はちょい乗りだけで、まだ高速道路を本格的に走って
はいません。
そろそろいいかと高速道を利用した遠出を思い立ち、思う存分走る計画を立て
ました。
折も折、ちょうど「シート張り換え生地の準備ができたのでいつでもOK」との
連絡があり、作業は1週間ぐらいとの事。
そこで私は、次の日曜の朝は早起きをし、たっぷり高速での遠出を楽しんだそ
の足で、夕方までに工場へシート張換修理に直接持ち込む計画を立てました。
しかしこの遠出は中断され、そのまま修理工場行きとなります。
原因は高速走行時のハンドルのぶれと、ラジエター破損の2点です。
高速道でのトラブルでもあり、参考になればと思って書いてみたらちょっと長
くなってしまったので、お急ぎの方は一番下の【参考データ】を読まれるとよ
いかと思います。
修理後はとても快調になりました。
以下はその顛末です。
【高速走行時のハンドルのぶれ】
料金所を過ぎ、30kmほどは走行車線を80km/hぐらいで巡行します。
この状態では平和そのもの、居眠りしそうになるほどです。
ややペースアップをし、90km/h〜110km/hぐらいまでの速度で追い越し車線と
走行車線を安全に行き来します。
これまた何の問題もなく、快適そのもの。
加速やキックダウンも上々です。
しかし、走行車線を約40分ぐらい走ったころでしょうか。
突然ハンドルがかすかに微振動するようになりました。
路面は普通で、速度はこの時は80kmほどです。
ややペースを落すと素直になったので、気のせいかと思いしばらく走行し、
今度は100〜110kmで巡行を続けます。
すると約30分後に、今度は結構激しくハンドルがぶれ始めます。
「持っていられない」の一歩手前という状態です。
ちょっとヤバいのかなあと思い、仕方無く90km/hで走行車線をひたすらおとな
しく走ることにしました。
その後の100km/h程度の30分ほどの走行では特にぶれる症状は現れませんでした。
でもやっぱり足周りはどこかおかしそうです。
夕方の工場入りのついでに足回りの再点検を強要しようと決心し、ひとまずSA
で休憩することにしました。
(筆者注)
これまでに、 実は一般道でもときたまですが通常のブレーキングでも停車直
前に路面の轍にハンドルが取られる現象が発生していました。
この時は年代物でかつ結構太いミシュランTRX(220mmタイヤ幅)のせいかと思っていたのですが、
この原因はタイヤではなくやはりサスペンションの方だったようです。
【ラジエター破損】
SAでの20分程の休憩後に再スタートを行い、10分ほど高速を約100km/hで走っ
た時点で、今度は急にSIインディケータのCHECKが点滅しだしました。
「また例のうそブレーキ警告かな?」とよく見ると「COOLANT」が赤く点灯し
ています。
水温計の針を見ると、こちらはちょっと高めの13:00分ぐらいを指しています。
しかたないので次のインターで降りようかと思った直後に、今度はボンネット
左から白い煙が吹き出してきました。
あきらかに冷却系の不調らしいのはさすがにニブイ私にも見てわかりました。
やむなくそのままゆっくり路肩にハザード点灯して緊急停車をし、エンジンは
切らない状態でどんなものかとボンネットをそっと開けてみます。
見ればなんとラジエターホース(上)が外れてボーボー吹いています。
「これなら簡単そうだ」と思い、エンジンを切り少し冷えた後に、ホースをラ
ジエターにつなげようと思いましたが、良く見るとこれがラジエターホース口
がクランプ輪止めの位置でポッキリ折れています。
ラジエタホース口は見るとここはどうも一体型のプラスチック製のようで、折
れたボロボロの口から、劣化しひび割れて折れた様が良くわかります。
仕方ないのでホースのクランプを車載のマイナスドライバで緩め、折れたラジ
エタ口ぎりぎりの所までぐいぐいとホースを突っ込み、ホース終端の位置でク
ランプを締め直して応急処置完了です。
軽く引っ張っても抜けそうもないのでこれでいいや思いふと見ると、冷却水リ
ザーブタンクはすっからかん、後ろを見渡すと、水をこぼした後が道路の彼方
にかすかに見えています。
結構前から漏れていたようです。
残念ながら水切れではここはお手上げギブアップ、やむなく路肩の電話でJH経
由にてJAFを呼び、JAF入会手続きと水4リットルのサービスを有償で受けるこ
ととなりました。
(5千+1万円ぐらい?だったと思います)
【工場への自走】
水補給後はエンジン暖気後も水温計の針は真中を越えることはなく、どうやら
水漏れもなさそうです。
JAFのお兄さんを見送った後は大事を取ってすぐに高速を降り、夕方入る予定
だった修理工場に一応電話します。
「その状態ならそのまま自走してきてください」とのこと。
あとはひたすら一般道で修理工場までの約150km程の道のりを走ることとなり
ました。
途中、念のため5リットルのオイルピッチャー容器を買い、予備の水をたっぷ
り入れて車に積みました。
また、ラジエタホースに負荷がかかって外れるとまずいので、ラジエタキャッ
プは一応外しておきました。
(JAFのお兄さんのアドバイス)
しかしこれがその後あだとなり、渋滞にはまってで吹きこぼれましたが、用意
しておいたオイルピッチャーの予備水が役に立ったのは少し元が取れた気分です。
その後はキャップを締めたままで渋滞路を走り、無事修理工場にたどり着きま
した。
【修理】
ただのシート張り換えのはずが、予想外のハンドルぶれ対策/ラジエタ交換も
同時に行うこととなりました。
ラジエタ破損は不可効力の気もしますが、サスペンション(ブッシュ)周りの整
備は車検整備時にお願いしていた内容だったためか、今回は
・コントロールアームマウント左右交換
・エンジンマウント左右交換
・ホイールバランス調整
と、なかなか念入りに整備してもらう事となりました。
シート張換修理は約束なので当然ですが、走行保証中なので今回の修理はすべ
て無償となりました。
明細については末尾に添付します。
【修理後の再度の遠出】
修理は当初の予定通り1週間で全部終りました。
気を取り直して、当初の高速での遠出を敢行した結果はとてもすばらしいもの
でした。
ハンドルは全くぶれません。
きっと今時の車はもっと凄いのでしょうが、タイヤは吸いつくように安定し、
これなら充分M535iの最高速もカタログ通り出せそうな気がするほど私には安
定して感じます。
(もちろんそんなことはしませんが)
またこのM535iは、CGのバックナンバー記事では、「100km/h時は4速で約2000
回転、3速で2800転」とあるのでどうかと試すとほぼその通り、どうやらATの
スリップとかもなさそうです。
ブレーキング時、停車直前に轍にハンドルを取られる現象も、その後はTRXタ
イヤであっても全く再発しませんでした。
水温計も実に安定し、秋も深まったためか、もはやその後は12:00の位置を越
える事はなくなりました。
(1998年12月末現在まで)
山道をちょっと元気よく走った印象も上々です。
M535iは思ったよりも深くストロークし、ロールも小さくはないのですが不安
感はなく、登りは元より、下りも安定して曲がれます。
コーナー侵入直後は前の沈み込みがやや深く、ダンピングが不足のような気も
しますが、これはダンパーがもしかしたら少しヘタっているのかもしれません。
(筆者注:その後、前後新品の純正ダンパーに交換しましたが、劇的な変化は
無いようなのでこれはどうも本来の持ち味だったようです)
【シート張換えについて】
張換用のシート生地は、ラッキーな事になんとこのM535i純正スポーツシート
用のオリジナルの生地そのものでした。
ドイツ本国からの取り寄せで約1ケ月かかったとのこと。
でも、11年車のシート生地を未だに供給可能とは驚きました。
張り換え部分は座面左側部と背面左側部の2ケ所です。
仕上りもばっちりで元生地との色の差もほとんどなく、この様子では部分張り
換えしたことはしつこく撫で回して確かめなければ誰もわからないと思える出
来栄えです。
※ ちなみに今回の程度のシートの部分張り換えを実費で行うと5万ぐらいかかるそうです。
※国産車なら1万ぐらいの費用だとのこと。
※でもこれはあくまでおよその目安でしょう。
【まとめ】
トラブルには見舞われたものの、特に危険な思いをすることもなく、かえって
車があちこち一辺にリフレッシュしたのは予想外の幸運と言えるのかも知れま
せん。
あまりすっきりした気がするので、この後は思いの他つい運転ペースを上げて
しまいたい誘惑に駆られるほどです。
(それもマズイと思い、今は平常心で運転してます^^;)
しかし今回で感じたことは、
「サスペンションというものは実に微妙な設定なのだ」
「経年劣化というものはやはり侮りがたい」
ということでした。
その後、bmw-digest メーリングリストで、同じE28で私のラジエタートラブル
とほぼ同様の現象が発生した記事を読みました。
こちらの方は、自分でホースを交換して数日運転した後、ある日停車中に、こ
のホース口の亀裂発生部から水が漏れているのに自分で気がついたことで大事
に至らなかったそうです。
本人はホースを取り換えたあと、自分でクランプを強く締めすぎたせいかもと
書いていました。
私の場合も納車前車検整備でこのホースを交換した1ケ月後の事であり、この
時のしめつけ具合の影響か、または整備後初めての高速走行時にSAの休憩で一
旦エンジンを停止し再スタートした直後だったので、ホースに一時的な高圧負
荷が発生したことが直接的な原因だったのかもしれません。
しかし本質的な原因はどうみてもラジエターホース口のプラスチック部分の経
年劣化だと思います。
長々と書いてしまいましたが、トラブルを経験した後では、車がより一層自分
のものとなった実感が湧いてきました。
M535i本来の優れたパフォーマンスにもそこそこ慣れ、気持の余裕も出たとこ
ろで、さて、次回は楽しいタイヤ交換のお話です。
【参考データ:修理明細】
<ラジエタ/マウント関係/シート張換え>
・ラジエター交換作業 11工数
・ガスケットリング A14X18-CU(9963201) \10
・ラジエター A=575MM(2712448) \85,800
・アンチフリーズ(9407455) \147
・エンジンマウント(左右)交換 7工数
・コントロールアーム(左右)ラバーマウント交換 9工数
・フロントホイール(左右)バランス調整 6工数
・エンジンマウントセット(1175735) \4,850
・ラバーマウントセット(9058818) \4,650
・シート地張り換え -----
[計:全て無償]
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