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第18話 「M3セダン:購入」
(作成:2000年1月31日 改訂:2000年2月4日)
(TEXT & PHOTO : wata@M3 / E36-M3 )
M3クーペは92年秋のパリサロンでデビュー、M3カブリオーレは94年初めにリリースされました。
そしてM3セダンが登場したのはクーペに遅れることちょうど2年、94年秋のことでした。
結局日本には正規輸入されなかったこのクルマの購入についてレポートします。
M3クーペが登場し、自動車専門誌などでその強烈なプロフィールが紹介され始めたころ、
ワタシはメルセデスベンツ190E2.3-16に乗っていました。
「へぇ、すごいクルマが出たもんだなぁ」と思いつつ、E30/M3と違う「M3クーペ」
というネーミングに、セダンボディの登場を期待させるものがありました。
それから約2年後の94年秋、自動車雑誌のパリサロン特集記事の片隅に、アーヴスブルーに
ペイントされたM3セダンの小さなフォトが載っていました。
メルセデス2.3-16は本当に素晴らしいクルマであり、他にほしいと思うようなクルマは
皆無だったのですが、M3セダンの存在を知った瞬間から「自分が次に買うのはコレだ!」
と思いこむようになりました。
そして購入に向けて本格的に動き始めることにしました。
当時は、「美女で野獣」というすごいコピーで日本デビューしたM3クーペでさえデリバリー
から1年も経っておらず、街で見かけることはまずありませんでした。
ましてやつい1-2ヶ月ほど前にヨーロッパでショウデビューしたばかりのM3セダンなど、
そもそも日本で買えるのかどうかすら皆目検討がつきません。
当然のことながら、正規ディーラーには「いまのところ輸入の予定はありません」と
言われており、必然的に並行輸入車を買うことになります。
そこで自動車雑誌を買いまくり、売っていそうな店を探しました。
そうやって情報を集めること数ヶ月、95年の2月末に発売された雑誌に掲載されていた
あるショップの取り扱い車種の中に、「M3sedan」の名前を見つけることができました。
早速そのショップへ赴き、商談を開始することとなります。
聞けば、5月ごろに上陸するロットとして、マセラティやアルファロメオ、ポルシェや
M3クーペなどとともに、初めて1台だけM3セダンをオーダーしているとのこと。
もちろん現車を見ることは叶いませんが、契約すれば3ヶ月後には自分のモノになります。
しかしワタシにとっては初めての並行輸入車、それもフツーのサラリーマンの分際でM3を
新車で買おうというのですから、購入にあたっては
やはりいくつかの懸念事項がありました。
ただあまり心配しても仕方ないので、以下の通りに自分を納得させることにしました。
- @クルマとしてのクオリティは大丈夫なのか?
やはり並行車であることが最大の心配事です。
BMWに限らず、並行車は正規輸入車に比べてコワれる可能性が高い、などというハナシも
聞いていました。
が、ハードウェアとしてのEU仕様とJP仕様との差がほとんどなくなってきた現在では、
正規インポーターによる輸入時のクオリティコントロールが受けられないという点を除き、
クルマの品質もそんなに違わないだろうと勝手に判断しました。
またM3セダン自体が新型車であるために初期不良ということも気にかかりましたが、
よく考えたら、単に発売後5年経ったE36セダンと2年経ったM3クーペとを組み合わせた
クルマだということに気づき、この点も心配には及ばないだろうということにしました。
- Aメンテナンスはどこでやってもらえるのか?
これはショップに聞きましたが、一般的な点検整備などはショップ提携のファクトリーで
請け負うとのことでした。
また希望があればそのショップを通してBMW正規ディーラーでのメンテナンスも受けられる
とのことで、本件についてもモンダイなしと判断しました。
なお後には知人の紹介もあって、直接正規ディーラーでのメンテナンスを受けることとなります。
- B維持費が莫大なものになるのではないか?
ガソリン代や自動車保険などを除けば、やはり気がかりなのはメンテナンスの費用です。
M3である以上、スタンダードのE36よりコストがかかるであろうことは想像がつき、これは
やむを得ないことと理解しました。
もちろん並行車であるため、「サービスフリーウェイ」などというすばらしいシステムとは
一切無縁です。
ただ、もともと現代のクルマはしょっちゅうディーラーで点検整備をする必要などないのでは
ないかと考えていたため、自分の財政状態を鑑みたメンテナンス・プログラムを立て、それに
従ってクルマ生活を送っていけばよいだろうと考えることにしました。
ということで、4月1日にM3セダンの契約書にサインしました。
当時は円高だったこともあって正規輸入のM3クーペよりかなり安い値段で買うことが
できましたが、それでもフツーのサラリーマンにはものすごい出費です。
泣く泣くメルセデスを下取りに出し、さらに頭金を思いっきり突っ込んで、なおかつ48回
ローンを背負って生きていくこととなりました。
そして待つこと1ヶ月半、1995年5月21日に、それまでは雑誌の小さな写真でしか見ることの
できなかったアーヴスブルーのM3セダンが納車されました。
このレポートを書いているのは2000年の1月です。
購入から5年近くが経過し、ワタシのクルマも7万kmを走ってきました。
これからはあまり時系列にこだわらず、テーマごとにレポートしてきたいと考えています。
引き続き、おつきあいのほどをよろしくお願いします。
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