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第79話 「番外編6『E36型M3へのコダワリ』」
(作成:2005年9月12日 改訂:2005年10月28日)
(TEXT & PHOTO : 宮田 / E36-M3 )
大規模リフレッシュを済ませ、快調を続ける宮号だが、何故そこまでして
E36型///M3に乗り続けるかちょっと触れてみたい。
E36型は最初の販売開始から数えるとすでに15年を迎える。
///M3は318iや325iからすると後になっての発売(本国1993年、日本国内1994
年)だが、それでも10年以上前の設計である。
宮号は俗にいう後期型でしかもほぼ最終モデルとなる1998年式。
6月の車検で7年(7万km)を迎え、ふつうなら乗換えも考えられなくもない年式である。
一方、3シリーズもは今年(2005年)にE46型からE90型に変わり、その変貌ぶり
は、より洗練され、より安全性を高め、そしてボディサイズも格段に大きくなった。
おそらく、2007年か2008年くらいには///Mモデルも発売され、充実したライン
ナップとなるだろう。
しかし、///Mモデルは、E36型///M3、E46型///M3で採用された直6エンジ
ンではなく、新規のV8型エンジンが搭載されるだろう。と様々なところで予想
されている。
E46型///M3に比べ、どのように進化し、どれだけの車になるかは分からない
が、より高性能になることは間違いないだろう。
ではE46型M3はE36型///M3に比べてどうなのだろう?
今更だが、私見でE46型///M3を検証してみたい。
E46型M3は車両価格885万円(2005年9月時点消費税込)、もろもろ含めて乗り出
し価格は1000万円を目前とする。(値引きナシの条件として)
スポーツカーでありながら、ふだんの通勤や買い物までこなしてしまい、それで
いて後席にも人を乗せることができるユーティリティの高さは、他メーカでは全
くない!といっていいくらい実用性のあるスポーツカーである。
この思想はE36型///M3のときとほとんど変わらないが、E46型///M3では、
E36型///M3のユーティリティレベルを全てにおいてレベルアップが図られた。
言わば正常進化だろう。
しかし、乗った感じはどうだろう?
もちろん、パワーやトルクはE46型///M3の方が上である。
また、いろんなシーンに於いても速く、しかもその速さを感じさせないくらいの
ボディ剛性、そして乗りやすさを兼ね備えている。
ただ、自分としてE46型///M3がホントに欲しいか?
・・・というとこでは、どこか明快な答えが出ない。。。というのがホンネである。
たしかに速い!パワーもある。それを受け止めるボディの剛性感や脚も格段にレ
ベルが高い。
そしてユーティリティ面でも申し分がない。
でも食指が動かなかったのが事実だった。
もちろん先立つモノが足りなかった。とか物理的な理由もあったが、ホントに欲
しいものはなんらかで手立てを考えて買うのが、これまでの自分流なので、何
か、フン切れないのがあったのだろうと思う。
何故だろうか? 自分なりに考えてみた。
そこで出てきた答が電子デバイスである。
E36型からE46型になり、自分の中で最も大きな変化があったのが電子デバイスの
多用である。
もちろん、E36型でも電子デバイスは多く使われている。
電子デバイスの中でもバイワイヤ式のスロットル、それとサーボ式のブレーキが
自分の感覚とは最も合わなかったのだと思う。
バイワイヤ式のスロットルはBMWに限らず、今の車では至極当然のように採用さ
れている。
ワイヤ(機械)式に比べ、コスト面やレイアウト面で優れており、機能面でもアク
セルの開度によって電気的にスロットルの開け方を変化させることも可能とな
る。(一例を挙げるとSPORTモードスイッチがそれにあたる)
E46型///M3の場合、車両に多くのセンサーがあり、常に車がどういう状態でい
るのかを診てアクセルを踏んでも、その踏み方がイレギュラーな状態とDMEが判
断するとアクセル開度と比例しない燃料マッピングに変え、安全性を保つ。。。
簡単にいうと、アクセルを10段階で10の状態で踏んでいても、車両が不安定な動
きをしていると、スロットルは10開けずに制御してしまっているのである。
これはCSLモデルではほとんど感じないが、E46型///M3の標準車では感じてし
まう。
(E36型///M3に乗ってる人でこういうことを気にした人でないと気付かないだ
ろう。)
特にSPORTモードスイッチをOFFにしてるときは、アクセルピックアップもE36型
///M3の機械式のアクセル(スロットル)に比べ、ややダルな感じさえもある。
しかし、街乗りや渋滞等の超低速でのアクセルワークを考慮すると万人向けとい
うことでは◎だろう。
ブレーキも初期制動性を高めるために318iを含めE46型全車にサーボ式のブレー
キが標準装備された。
電気的に制御してることもあり、軽い初期踏力でガツン!と効くのが特徴である。
何も知らないと「ブレーキがよく効く!」と思うだろう。
いや、事実、E36型より効くブレーキなのだが、初期制動性と、そこからさらに
ブレーキペダルを踏み込んだときの一様性に於いては、E36型に比べるとリニア
に感じないのである。
こうした電子制御のメリットが大きいのは十分に分かるのだが、E36型///M3の
ワイヤ(機械)式の常時シャープなピックアップ・・・
踏んだら踏んだ分だけ加速/制動するアクセルやブレーキ・・・
・・・という直結感覚とリニアな操縦性を好む自分にとってはちょっと違和感があ
るのである。
なので、最近のBMWにみられる、アクティブステアリングもリニア感に欠けると
感じているので、自分の肌には合わない。
///Mモデルではないが、E46-330i M-SportでMTとSMGがラインナップされ、その
車の性格から///M3に迫る!と雑誌やWeb上でも話題を賑わしたときがある。
しかし、実際に同MT車に何度も乗ったことがあるが、バイワイヤのセッティング
は最悪に感じた。
アクセルを踏んでもワンテンポどころかツーテンポ遅れで加速するのはどうして
も自分の感覚に合わなかったのである。
(AT車はこれ以上必要ない!というくらいの素晴らしいATプログラムだった。)
なので、今後E90型3シリーズの6気筒車にMT車、またE87型1シリーズに130iが
デビューし、MT車もラインナップされるかも。。。?
・・・など噂はたくさんあるが、実現したときに“速い/パワフル”なMT車よりも
“愉しい”MT車にしてほしいと思う。
これらの電子デバイスの介入は安全面でのアドバンテージを大きく保つが、それ
と引き換えにリニアな感覚を失いつつあると思う。
たぶん、自分が旧い人間なのだろうから、リニアな感覚の車を運転することによ
る操作感や人車一体感が愉しいと感じているからだろう。
それもあって、国産車でどんなに高性能な車が出てきてもリニア感がない車は、
自分にとっては「運転してる」より「機械に運転させられている」感が強い。
ご存知の方もいるかもしれないが、2004年に発売されたBMW Mag.誌に自分の車を
掲載してもらい、そのインタビューの中で「M3は車の運転の仕方を教えてくれ
る車。」と答えた。
これは///M3に乗り始めてから、今に至るまでずっと感じてることである。
例えばアクセルワーク一つとっても、アクセルを踏む1mmの差で車が敏感に反応
する。
シフトチェンジの時にギクシャクすることなくエンジン回転を合わせクラッチを
繋げる操作やタイミング。。。
コーナー進入時の減速、そしてどうステアリングをどう切って、どんなライン
で、どのようにすればスムーズにコーナーを抜けれるか。。。
全てのシーンに於いて、どうすれば車がスムーズに前に進むかを教えてくれる。
これはE36型///M3の直結感覚とリニア感がもたらしてくれた恩恵と信じている。
・・・といろいろ言いつつも、E46型M3は直6最期のM3であることには変わりな
いのと、現行BMWの中では最もリニア感がある車種なので大変魅力的な車である
ことには間違いない。
だが、今の宮号が物理的になくなってしまったときにはどうするかは全く想像も
つかない。
E46型///M3にするか・・・
他のBMW車にするか・・・
“駆け抜ける歓び”を捨て、他メーカの車にするか・・・
全く志向を換えてファミリーユースのワゴンにするか・・・
正直、そのときになってみないと分からない。
ただ言えることは、E36型///M3は、今の自分の感覚に最も近いということである。
速く走るということではない。どんなシーンに於いてもスムーズに走ることがで
きる人車一体感と、自分の意図することに直結感覚に動作してくれるリニアな操
縦性。
そして、高いユーティリティ。これを高次元で融合しているのがE36型///M3で
あると信じている。
それもあり、“駆け抜ける歓び”を堪能しつつ、しっかりメンテをしていきたいと
考えている。
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