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第12話 「Z3購入」

(作成:1997年7月23日 改訂:1997年7月24日)

(TEXT : さし / Z3)

私は仕事上、自動車産業に深く関わってきました。
そもそもこんな仕事に就くことになった一番の理由は「くるまが好きだから」、 しかし時は流れてその情熱はいつのまにか消え失せ、くるまは仕事の対象そして ただの道具になり下がっていました。
当時乗ってたレガシィTWはろくに洗車もされず雪などとうに解けてしまってい るのにスタッドレスタイヤ履きっぱなし。
そんなこの私のハートを再び燃え上がらせてくれたくるまがZ3だったのです。

雑誌で見て一目惚れ、価格も3万ドル程度、これは買える!
しかしその年の東京モーターショーには出展されず正規デリバリーの情報もいっこうにない。
007を見たけれどチョー脇役扱いでたまに雑誌に出ている平行物にはどえらい 値段がついている。
忘れかけていたある夏の日、Z3アニバーサリー限定販売の情報が!

予約開始まではまだ日にちはあったものの早速近くのディーラーに走りました。
外車のディーラに行くのは初めてでしかもバイクでの来訪、最初誰も相手してくれ ずしょうがないので手持ちぶさたそうにしていた営業の人にこちらから声をかけ 「Z3アニバーサリーについて情報をお聞きしたい」。
まだ予約前とたかをくくっていたが既にそのディーラーでは予約はほぼいっぱい、 私の希望するシルバーはあと一台とのこと (まじめに予約開始日にいったユーザーはどうなるんじゃい!)。
そんなんで営業は当然強気で「この車は値引きを要求する人には売りません」という態度。

その後、何度か足を運び何とかCDチェンジャーくらいはせしめようと 思っていたところ最後通告が!
「来週末に正式に御予約いただけなればこの話しは他のお客さんへ・・・」
私は迷っていた。
払って行けるのか?
この車でスキーに行けるのか?
そして何よりも自分の勤めている会社への忠誠心が・・・
CDチェンジャーのことなど自分を誤魔化すための口実に過ぎなかったのです。

そんなある雨の晩いつものように深夜仕事を終え、いつもはあまり行かないファミ レスに夜食を食べに行きました。
そこの地下駐車場で私は運命と出会ってしまったのです。
たぶん実物をこんな近くで見るのは初めてであろうZ1ロードスターがそこに!
あこがれのエンブレムに、そして濃紺のボディに雨のしずくが輝いていました。
私はこいつの弟のオーナーになる!
運命を感じました。

翌日はんこを持ってディーラーへ、結局値引きゼロ、用品サービスゼロ、納車まで 2ヶ月半から3ヶ月、しかも試乗どころか実車を見たことがないという悪条件なが ら仮契約書にはんこを押したのでした。

そこからこの車についての情報収集の毎日が始まります。
第2話<納車>お楽しみに!

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