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第53話 「ステアシフトと私B」

(作成:2007年5月3日 改訂:2008年7月15日)

(TEXT & PHOTO : 江工作 / Z3)


注意! 欠陥報告がありましたので、必ず このページもあわせてご覧ください。




世の中に無いのであれば,作ってしまえば良いのです.
あるのはステアシフト化への執念と,わずかばかりの技能のみ!

いよいよ作業開始です.
まずは,ステアリング側にスリップリングを設置します.


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ホームセンターで買ってきた銅板をコンパスカッターで丸く切り,
2本のスリップリングとしました(この作業が一番たいへんでした).
それぞれステアリング表側へ導線を引き込んだら,リングを溝に接着します.
これで,回転電極の完成です.

次に,ステアリングコラム側に固定電極を設置します.


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固定電極には,耐摩耗性,通電性,整備性,入手のし易さなどを考慮し,
ラジコンカー用モータの交換用ブラシを選択しました.
これを無加工で着脱・交換でき,先ほど作ったスリップリングへ,
ばねの力でブラシを押し付けるためのホルダが別途必要になりますので,製作しました.

前々回,「ほぼDIYのみによって製作可能」と書きましたが,このブラシホルダ だけは工作が必要でした.
逆に言えば,これさえあればあとはご家庭のDIYレベルで済みます.


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ステアリングコラムにブラシホルダを設置するのですが,コラムカバー内部に,
ちょうど良い位置にステー(?)がありましたので,ここに決定.


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ボルト,ナット,金具で固定.取り付け位置,剛性とも問題なさそうです.
なお,ブラシが消耗しても,ホルダをいちいち外さなくても交換できるよう工夫しました.
さらに,簡易的ながら二重リミッター付きで,ブラシ消耗時もホルダからの抜け落ちや ステアリングへの巻き込みを防止しています.
また,絶縁性,真夏の炎天下駐車時の耐熱性,位置決めの容易さなどあらゆる要求を
満たす必要があるため,今回実施した方法においては,このブラシホルダこそ
要のパーツとなります.
設置できたら,シフトレバーからシフトアップ/ダウンの信号をそれぞれの
ブラシへ分岐・接続します.

最後に,分岐したシフトアップ/ダウンの信号をアースに落とすためのスイッチを
取り付ければ完了となります.
ここは,操作性や見栄えなど,設置者のアイデアとセンス,工夫次第で夢が膨らみます.
私の場合,「純正パドル付きステアリング装着不可」という事実を逆手にとり,
「純正の内装を全く崩さない」ことをテーマにしてみました.


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そこで着目したのがこの「ギョーザ」です.
スペースは充分で,スイッチ等を取り付けるにはうってつけの場所ですが,
今回のテーマに従い,スイッチ等を取り付けることはせず「ギョーザ・パドル」製作を決意.
つまり,ギョーザ自体をスイッチにしてしまおうという試みです.

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ギョーザ内部に,ハードオフで調達したPC用マウス(ジャンク品)の基盤から
カチカチ鳴るスイッチと,スリップリングからアースに通じる配線,
そしてラジコンカーのサスペンション用コイルばねを仕込んで,ギョーザ自体を
1個のスイッチに改造.半田ごて,千枚通し,ドライバーセット程度の道具があれば行けます.


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シフトチェンジは,親指か掌で.マウスから取り出したスイッチのカチカチ感と,
ラジコン用ばねのマッチングは我ながら絶妙の一言.
純正パドルの操作感にも負けていません.


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左右とも取り付けて,完成です!
スイッチは左右のギョーザそのものですので,大きさもちょうど良く操作性も良好です.
右がアップ,左がダウンのオーソドックスなパターンにしてみました.
スイッチのストロークは1mmほどで出っ張りもほとんど無く,どこから見ても
純正ドノーマル内装を実現しました.
無論,ホーンもエアバッグも機能します.

今回,ショップでもできないと言われ,対策品も出回っていない状況で,
数千円の材料から一個人レベルで,夢にまで見たステアシフトが装着できることが分かりました.
Z3のステアシフト化を目指す方々の参考になれば幸いです.
ただし,改造は自己責任にて.

次回,ロードインプレッションにつづく


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