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第9話 「ASC+Tの威力」

(作成:1998年1月23日 改訂:1998年1月23日)

(TEXT : たく / E36-318ti)
1.はじめに

最近,雪道でのASC+Tの効果について,絶賛する声が「読者の声」で聞かれていまし たので,気になっていました.95年式の私の318tiにはASC+Tは装備されていないので, なおさらです.ご存知のように,ASC+Tとは,雪道やぬかるみで駆動輪が空転したとき, タイヤが路面を捉えるまで自動的にトルクを調節してくれるしかけです.現在はM3以外 の3シリーズにはすべて,もちろん318tiも含めて,ASC+Tが装備されています.
ディーラーに「今度雪が降ったらASC+T装備車を試乗させてね」と話半分でお願いし ていたら,意外に早く実現しましたのでレポートします.


2.試乗車は328i

積雪は約10cm,断続的に「雪またはあられ」が降る日でした.気温は氷点下ではなく, 凍結はしていません.交通量の少ない道路に雪が少し残っている程度で,ASC+Tがなくと も走れる状態ではありました.試乗車は318tiではなく,328i(左ハンドル,AT車)です.
実は6気筒モデルにも乗りたかったので,ラッキーでした.(318tiメンテになっていませ んね.)ディーラーの人といざ出発です.3年ぶりの左ハンドルに違和感を感じながら, ASC+Tの効果を確かめられる場所を探しました.


3.平坦な道での効果

雪が残ったところをわざと選んで走り,アクセルを強く踏んでみました.普通なら,FR 特有の後輪の横滑りが起こります.ASC+T装備車は一瞬滑りますが,すぐにASC+Tが作 動し,おしりを振ることはありませんでした.
これなら,路面の状態にあまり気を遣いながらアクセルコントロールをする必要はありません.
ただし意識的におしりを振りたい場合は,ASC+TスイッチをOFFにしておけばいいので, その点も気に入りました.
ぜひとも凍結路で,できれば表面が解けたアイスバーン(これが一番滑ります)で試してみたいと ころです.


4.積雪路での効果

積雪が10cm以上はある,除雪されていないスロープを発見し,そこで試してみようと いうことになりました.普通でも,入るのをためらうような道です.328iはゆっくりと登 って行きます.私は,アクセルを一定の強さで踏むだけです.「これはすごい」と思って いると,あまりの雪の深さにスタックしてしまいました.
どんなにアクセルをコントロールしても,駆動輪が雪を噛まなくなってしまったのです.
こういうときの対処は,私は慣れていないので,ディーラーの人に運転を代わりました.
ASC+TスイッチをOFFにし,わざと空転させ,駆動輪の前後の雪をなくし,脱出できました. さすが,雪国新潟のディーラー,落ち着いたものです.
なお,スタックしたのは,ASC+Tが悪いのではなく,スタッドレスタイヤが結構減っていたのと, あまりに雪が深かったからです.積雪路でも,ASC+Tの効果は十分でした.


5.おわりに

318tiは3ドアハッチバックのFR車という今どきめずらしい車です.一般に小型のFR 車は後ろが軽くなりがちで,積雪路や凍結路で簡単におしりを振ってしまいますが,318ti は,前後の重量バランスが1:1に設計されているので安定性に優れています.(という のが謳い文句です.)とはいうものの,セダンやクーペのトランクを切り落としたスタイ ルなので,感覚的には,後ろが軽いような気がします.スキーに行くときは,なるべくトラ ンクを重くして出かけたくなります.
今回試乗して,ASC+Tの威力は絶大であることがわかりました.雪道や凍結路でのFR 車のハンデを克服してくれそうです.きっと,雪国や寒冷地でもBMWを選ぶ人が増える ことでしょう.


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