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第12話 「まじめなメンテのお話その2。タイヤをはずしてみよう。」

(作成:1997年6月30日 改訂:1997年8月16日)

(TEXT : やまそうカンパニー / E32-750i)
みなさん、こんにちわ。昨日の台風はすごかったですね。
私は車庫が飛ばされてしまわないかと気が気ではなかったのですが、 大丈夫でした。
太郎の車庫は風にはすごく強いようです。(でも雪には弱い。)
さて、今日は、先週予告しましたとおり、メンテの初歩の初歩 「タイヤをはずして点検を」についてお話ししようと思います。
ベテランのかたには退屈だと思いますので読み飛ばしてくださいね。
なお、ぜぇ――んぶ自己流なので、まねしてみる人はご自分の責任で やってくださいね。

思えば、車のメンテを自分でやるようになるかどうかの分かれ道は、 タイヤを自分ではずすかどうか、言い換えると、タイヤをはずすのが、 おっくうか否かにあるように思います。
私のように、嬉々として車の下にもぐったり、タイヤをはずしたりするのは、 変態としても、タイヤをはずすのがおっくうでなくなれば、 日常のメンテに慣れ親しむことはたやすいように思います。


1. タイヤをはずす前に

次のものを準備します。

(1) ジャッキ
車載ジャッキは不安定なので緊急時以外は使いません。
パンタグラフ型のジャッキも使いません。(とても危ない)
DIYや車用品店で、2t用ガレ−ジジャッキを格安1万円位で売っていますので、 こんなもので十分だと思います。
ただ、格安ジャッキは、リフト高が低いので、マキシムハイトまで持ち上げても ウマがかませる高さまで上がらないので、本格的に下に潜りたい人は、 4万円くらい出して、本格的なガレ−ジジャッキを買うことをお勧めします。

(2) レンチ
車載のレンチは使いません。
980円の十字レンチもやめましょう。
これを使うと、スタッドボルトの頭をなめてしまうことがあります。
せめて、3000円位は出して、専用レンチを買いましょう。

(3) 車止め
安全のため必ず、かます必要があります。
金属製のオ−ソドックスなものを2ヶ購入して起きます。

(4) ブレ−キクリ−ナ−
スプレ−式のブレ−キクリ−ナ−があると便利です。
一缶、購入しておきましょう。

(5) アンダ−コ−トとシャ−シブラック
これもスプレ−式のものがあれば、購入しておきましょう。


2.タイヤをはずす。

さて、タイヤをはずします。

(1) はずすタイヤの対角線上のタイヤに車止めをかまします。

(2) ジャッキを当てます。
ジャッキアップポイントは前輪の10センチほど後ろと、後輪の10センチほど 手前です。
ジャッキアップポイントに、ジャッキの受け皿を当てて、車輪が浮き上がら ない程度、少し、ジャッキアップします。

(3) スタッドボルトをゆるめます。
スタッドボルトの頭にレンチのソケットがぴったり合うかを確認した上で、 全体重をかけてスタッドボルトをゆるめます。
どうしてもゆるまない場合は、レンチに蹴りを入れたり、レンチの腕を鉄パイプ で延長したりして、気合い一発ゆるめます。
(気合い一発はあまりお勧めできませんが、タイヤ屋さんやガソリンスタンドの 一部では、ずぼらをこいてインパクトレンチでスタッドボルトを締める事があり、 こんな事をされていると、とてもじゃないけどゆるまないことがあります。)
この段階では、ゆるめるだけにします。
以後、順次、対角線上の順番で、スタッドボルトをゆるめます。

(4) ジャッキアップ
再度、車止めとサイドブレ−キ、ならびに、ATがPに入っていることを確認の上、 スコスコとジャッキアップします。
車輪が地面から少し浮けばOK。

(5) スタッドボルトを抜きます。
少しゆるめてあったスタッドボルトを抜きます。

(6) ホイルをはずします。
そっと、ホイルを引き出して、抜きます。
(腰を痛めないようにね)


3. 点検

(1) まず、ころころころがしながら、タイヤそのものをチェックします。

a.釘を拾っていないか。
結構、拾った釘が、ブッツリと刺さって、釘の頭だけが、トレッド面に見える ことがあります。
このような場合スロ−パンクチャしていることが多いのですが、 「見つけた」といって抜いてしまうと、「ジュビ−」とエアが抜けてしまって 一巻の終わりです。
釘を抜かないでタイヤ屋さんへもってゆきます。

b.偏摩耗していないか。
アライメントが狂っているとタイヤのトレッドの内側が異常に摩耗したりします。

(2) ブレ−キの点検
万が一、ジャッキがはずれたときにボディがダイレクトに地面に当たらないように、 はずしたタイヤは横にしてジャッキアップポイントの車体の下に潜り込ませます。

a.ブレ−キクリ−ナ−で掃除する。
キャリパ−からブレ−キフル−ドの液漏れが発生していないか、よく目で 点検した上で、キャリパ−、パッドの点検窓、ディスクなどをブレ−キクリ−ナ− を吹いてきれいにします。

b.パッドの残量を点検する。
キャリパ−前方に、パッドの残量の点検窓があります。
クリ−ナ−できれいにすれば、残量は一目瞭然です。
オ−ナ−ズハンドブックに記載の残量があるかをチェックします。

c.ブレ−キパッドセンサ−がはずれていないかチェックする。
この点検窓に見える黄色い電線がつながったセンサ−がパッドの残量を警告する センサ−です。
これがはずれて宙ぶらりんになっていないか、点検します。

d.パッドの引きずりがないかをチェックする。
ブレ−キキャリパ−のピストンのゴムブ−ツが経年変化で劣化すると、 ブレ−キフル−ドの液漏れが発生するとともに、パッドの戻りが悪くなって、 ブレ−キが引きずるようになります。
手で、ブレ−キディスクを回してみて、パッドが引きずっていて、 ズ――ズ――いっていないか、チェックします。
(引きずっていたら素人の手には負えないので、ディ−ラ−へ持ち込んで キャリパ−のオ−バ−ホ−ルを依頼します。)

e.ブレ−キディスクの厚さのチェック
これは、6ヶ月に一度くらいでいいと思うのですが、ノギスがあれば、 これを使ってディスクの残量をチェックします。
なければパッド交換2回でディスク交換1回を目安に、ディスクの交換を行います。

f.ブレ−キホ−スの点検
ブレ−キホ−スの汚れをきれいに落とした上で、ホ−スのひびや膨らみがないか、 なめるように点検します。
また、クランプ部分からの液漏れがないかなどもよく確認します。

(3) タイヤハウスとサスペンションの掃除
せっかくタイヤをはずしたので、タイヤハウスの中をきれいに水洗いし、 アンダ−コ−トを上塗りします。
また、サスペンションのア−ム類もシャ−シブラックを吹いてきれいに してやります。


4. 終了まで

これらの作業が終わったら、車輪を組み付けることとなります。

(1) ブレ−キディスクの再清掃
手に着いたオイルなどがブレ−キディスクにくっついていると、 ブレ−キ片効きの原因となってしまったりして、せっかくの点検が事故の元と なってしまいます。
私は、ホイ−ルを組み付ける前に、もう一回、ブレ−キクリ−ナ−でディスクを 清掃してやります。

(2) ホイ−ル組み付けと、スタッドボルトの締め付け
スタッドボルトは、最初、手で、回してねじ込んでゆきます。
この際、潤滑のためにねじ山にオイルやCRCなどを吹いてはいけません。
締め込むときに締まりすぎてしまい、次回、ゆるめるときに、泣くことになります。
軽く、レンチで締め込んだら、ジャッキをダウンさせます。

(3) スタッドボルト増し締め
ジャッキダウンさせたら、レンチを使って手で力一杯締め付けます。
足で締めたり、全体重を乗せて締めると締め付けすぎとなり、 ろくな事はありません。
増し締めはゆるめたとき同様、対角線の順番で行います。
なお、1週間後にゆるんでないか、もう1回、増し締めしています。

結局、この作業を4輪について繰り返すわけですが、ちょっと、 1日でまとめてやるのはしんどいです。
楽しみながら、毎週、1輪ずつやってみてはどうでしょうか。
こんな、初歩的で、単純な作業でも、結構車のコンディションがいろいろわかって、 コスト面でもお役立ちです。


5. 予告編

さて、次回は、また、悶絶ネタに戻り、 「グレムリンの住む町。床下から異音発生、だれかそこにいるのかあぁ」を お送りします。
また見てね。(ああ疲れた。)
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