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第9話 「なぜブレ−キペダルが床まで踏み込めるの?不思議なブレ−キのお話」

(作成:1997年6月2日 改訂:1997年7月12日)

(TEXT : やまそうカンパニー / E32-750i)
1.太郎のブレ−キ、変なブレ−キ。

みなさん、ブレ−キはお元気ですか。
ドイツ車がほこる美点の一つとしてブレ−キの剛性感のすばらしさがありますよね。
私が愛用した初めてのドイツ車は73年式の911Sでしたが、初めて乗ったとき、まさに 「ブレ−キペダルを蹴飛ばす」というのはこういうことか、とその剛性感の高さに驚いたものです。
BOHPのみなさんのなかにもブレ−キフェチの方がいらっしょるようで、ブレンボの6ポッドなどを装着 されていたりしてうらやましい限りです。
めちゃめちゃ強力な逆Gを発揮するんでしょうねえ。

さて、そんなドイツ車のなかにあって、最高速280キロを標榜する太郎のブレ−キは、実にへんてこりんです。
E32のブレ−キアシストはバキュ−ムではなくて油圧なのです。
リアの自動車高調整装置(レベライザ−)やパワステと同じ系統の油圧を利用してアシストを行っています。
このため、ブレ−キのフィ−リングは実に奇妙なものがあります。

どのように奇妙かと言いますと、一言で言うなら「ふにゃふにゃしている」と表現できます。
とても剛性感とはほど遠く、何か、こう、ある日突然床まで踏み込めてしまえそうな、頼りなさがあり、私は「ほんわか ブレ−キ」とよんでおります。

ではほんわかブレ−キだから効きがが悪かったり、フェ−ドしやすいのかというと、そんなことはありません。
止まらなくいてはならないときにはきちんと止まります。
(止まらなくてもいいところで壊れて止まってしまうのは閉口ものですが…)
耐フェ−ドのレベルも高く、2トン近い車重で筑波のパ−プルラインの下りを振り回しても (いや、もとい、私が車のなかで振り回されているというのが正しい) 全く、フエ−ドしません。

私は、学生時代に、某国産車で山道の下りをよたよた走っていて、ブレ−キがフェ−ドしてしまい、遮断機 が降りた踏切につっこんで、肝が凍る思いをしたことがあります。
従って、ブレ−キの整備にはいつも気を使っており、エア抜きやブレ−キフ−ルドの交換もきちんとやっております。


2. あれ、ブレ−キペダルの踏みしろがありませ――ん

ところが、やっぱりというか、もう勘弁してよというか、私の予感通り、「ある日突然、ブレ−キペダルが 床まで踏み込めたよ、かあさん」事件が発生したのです。

いつものように、車庫を開け、その日も太郎のシ−トに座りました。ATにお乗りのみなさんは皆、同様か と思いますが、私はエンジン始動時にかってに太郎が暴走しないように、必ず、ブレ−キペダルを踏み込ん で始動する事にしています。
(もう、予想だにしないことがいろいろ起きるので、いきなり暴走したとしても私としては全然不思議ではありません。)
その日も始動しようとして、ブレ−キペダルを踏み込んだところ、「ありゃりゃりゃりゃ!!!」
ペダルが床まで踏み込めてしまうのです。
床まで踏み込めるブレ−キペダルというのは、形容しがたいものがあります。
「こんどはブレ−キラインのどっかに穴があいたの?」
ピンチ!!

とりあえず、ブレ−キラインを一通り点検しましたが、どこからも漏れている形跡はありません。
「本当にブレ−キ効かないか、走ってみよっと」と素早く恐ろしい判断を下した私は、キュルキュルキュル とエンジンを始動し、おそるおそる、車庫から太郎を引っぱり出しました。
するとブレ−キの踏みしろが復活し、ブレ−キが効くではありませんか。
「こりゃいったいなんなんだ」
ブレ−キがこんな状態では、怖くて仕方がありません。
恒例の「入院」となりました。


3. 入院と検査結果

入院と同時に、原因は判明。
難しいことはよくわからないのですが、冒頭ご説明した、ブレ−キの油圧アシストの油圧をエンジンが 停止している間ためておく「アキュ−ムレ−タ−」という部品がいってしまっていました。
中にゴムのバル−ンのようなものが入っていて、これを膨らましておいて、エンジン停止時のブレ−キアシストを 行っているようなのですが、このバル−ンが割れてしまい、エンジン始動前の停止時にアシストが 効かない状態となっていたそうです。

「アキュ−ムレ−タ−」は4万キロくらいで割れてしまうようで、E32のトラブルとしてはポピュラ−な もののようです。
でも部品代だけで6万円近くするのは、痛い。


4. レベライザ−について

さて、今回、わたしの寿命を3年ちぢめた油圧系は、パワステ、レベライザ−と共用されています。
こいつらは、この後もいろいろと悪さをしてくれるのですが、現在、レベライザ−付のリアショックの寿命が わからなくて困っています。
まさか、10万キロ無交換というわけにもいかないと思うのですが、ディ−ラ−では、 「交換の必要はないよ」と無欲な事を言っています。
どなたか、この件についての情報をお持ちではありませんか。
お持ちの方がいらしたら私にメ−ルください。
よろしくお願いします。

次回は、「爆裂音とともに大量のオイルが噴出。いったいなにごとだああ」の巻きをお送りします。
とほほ。

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