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第6話 「DIYメンテその7− リモコン/セキュリティー・システム取り付け体験記パート1」

(作成:1997年8月1日 改訂:1997年8月22日)

(TEXT : サモア320i / E36-320i)
今回はアメリカのディーラー等でBMWのオプションとして販売されているリモコン・ドア ロック(アラーム機能付き)を個人輸入して取り付けたので、その体験談と取り付けを通し て得られたドアロックに関する電気系の技術情報をご報告します。
なお、ここで紹介する技術情報はあくまでも私の94年式320iセダンに関するものであり、 他の年式やグレードはもとより同じ年式の320であっても固体差により当てはまらない場合が ありえます。
また、電気系統の改造はディーラーでのサービスに支障をきたすことがあり、SFWをはじめとす るメーカー保証がなくなること、不適切な電気系統の改造により車両火災その他の事故が起 こりうることを十分理解した上で、基本的な電気回路の知識を有した腕に自信のある方のみ 御自身のリスクで情報を利用して頂きますようお願いします。
なお、今回はあまり一般的な情報ではないため、他のメンテ・コーナー同様に物語風にお送 りしたいと思います。


§プロローグ

それは私がBMWのAC購入を決意し、納車までの日々を心待ちにしていた頃にさかのぼり ます。以前からバイク用の部品を個人輸入していた私は購入したBMWにも何か取り付けら れるものはないかとネットサーフィンやカタログ請求に勤しんでいました。
そんなときに見つけたのが、USで オプションとして売られているリモコンドアロック& アラームでした。
中古なので仕方ないとはいえ、いまや国産車ではあたりまえのように装備されているキーレ ス・エントリーが購入した320についていないのは大いに不満でしたし、ちょうど世間で は高級車の盗難事件が騒がれている時期だったこともあって大いに興味を引かれました。
機能説明に目をやると、「リモコンでのドアロック/アンロック」、「ドア、トランク、ウ インドウのプロテクション&アラーム」、「アド・オンで取り付け可能」といったうたい文 句がありました。
しかしながら私の脳裏にはある不安と疑問が浮かびあがっては消えていきました。それは...
「これって日本仕様のBMWにも付くのだろうか?」
「付くのなら日本でオプション販売されてないのはおかしい。やはり付かないに違いない。」
「いや、もしかしたら本当は付くんだけど、電波法のレギュレーションの違いかなにかで国 内では合法じゃないだけかも。付けてもどうせばれないからいいかな。(^_^;」
「でも、リモコンの電波なんて微弱だから法規制の可能性は低いよなぁ....」
「設計も生産も合理化された大量生産車の配線にそんなに大きな違いは無いのでは。。」
といったものでした。
で結論としては、
「アメリカ仕様のようにそのままでついちゃえばラッキー。」
「そのままで付かなくてもどうせ配線に大きな差はないだろうからなんとかなるさ」
という楽観的な予想のもとにオーダーしてしまったのです。
後に大掛かりな配線確認と数ヶ月に及ぶ作業期間を強いられるとは この時には全く予想していませんでした。


§第1章 無いじゃん..

待つこと2週間、納車とあい前後して部品が届きました。
さっそく箱をあけて中身を確認。
英語で書かれた取り付け指示書をパラパラとめくっていくとユニットから出ている各コード の色と機能の対応を示した挿し絵や取り付け方法の挿し絵が全ページにあってわかりやすい。
そして取り付けは、な、なんとコネクターをつなぐだけ...
あとは本体を固定してサイレンを取り付け、インジケータ用の穴を1個コンソールの ノックアウト・パネルに開けるだけで終了となっている。
「なぁんだ。楽勝じゃん。今週末につけよっと。」
何も知らない私はそう思って取り付けの週末がくるのを待ちました。
ところが....
土曜日になり、取り付けのためにグローブ・ボックスを取り外して目的のコネクターを探そ うとした私は呆然としたました。
「コ、コネクターが無い...」
そうなのです。アメリカ仕様ではあらかじめオプション取り付け用に配線されているケーブ ルとコネクターが日本仕様には見あたらないのでした。
「うーん、やっぱりそんなに甘くないか...」
改めて取り付け指示書の挿し絵と見比べると電気系のモジュールの形状や配線コネクターの 様子も微妙に違っているし、エンジンルーム内にあると書かれているアラーム用のコネクタ ーも見当たりませんでした。
「こりゃ配線をいじらないと駄目だ。やっぱりこいつのお世話になるのか」
そう思った私はホッチキスで束ねられた数枚の紙に目をやりました。
実はこんなこともあろうかと事前に海外のBMWの技術情報が記載されているWebサイト でドアロックに関する技術情報を入手しておいたのです。
その中には配線の色コード情報も含まれており、これさえあればたとえ配線に若干の差が あっても目的の色コードの配線をたぐっていけば取り付けは可能だろうというのが私の 考えだったのです。
が、しかし...
配線の色情報を頼りにして取り付けに必要な線を探してみたのですが、これがなんとほとん ど該当なし!。
どうやらアメリカ仕様とは配線の色コードまで違うみたいで、取得しておいた情報はなんの 約にも立たないことが判明したのです。
「がぁぁーん。どうしよう。このままお蔵入りかぁ?」


§第2章 丈夫なモジュール

一旦は取り付けを断念しかかったものの、購入費用やキーレス・エントリーの便利さを考え るとどうしてもあきらめがつきませんでした。
「線の色が違っていても同じ機能の配線は絶対にあるはずだからそれを探そう。」
そう決心した私はテスター片手に配線を調べてみることにしました。
とりあえず車載のモジュールから一つずつコネクターをはずしてはロック/アンロックを 繰り返してどのコネクターがドアロックに関係しているのかを調べていくと、セントラル・ ロック・モジュールとロック関係のコネクタにたどり着くことができたので、次いで モジュールのコネクタ部分にテスターをあてて目的の配線を探すことにしました。
「きっと+12VのON/OFFでスイッチが入るんだろう」と勝手に思いこんでいた私は テスターをDC50Vのレンジにあわせて1本ずつ電圧を図りながらドア・ロックを操作し 配線を探しました。
そしてロック/アンロックで電圧の変化する線を発見、ピン番号をメモし、 次のピンへと 移りました。
そしてドアロックのノブを押すと....
「ドアロックができない。」
あわてて助手席側のロックノブを操作するも、やはり反応なし。
「あ、やばい。こわしたかな?」
とりあえずフューズを確認してみようと思いエンジンルームのフューズボックスを点検する と、案の定飛んでました。
セントラル・ロックの5Aのフューズが。
予備のフューズに交換し、おそるおそるドアロックに手をのばした。
結果は....セーフ。モジュールは無事でした。
が、しばらくして2度めのショート。
今度もモジュールは無事だったがもう予備のフューズがない。
意外に丈夫なロック・モジュールに感心しつつも、
「これじゃそのうち壊すよな」
とショートの原因を考えながら、近くのオートバックスにフューズを買いにいきました。
どうやらテスターのプローブが隣のピンと接触してショートしてしまったのが原因らしい。
配線を調べるためにモジュールは宙ぶらりんの状態だし、テスターでピンをあたりながらド アロックを操作するという作業環境なのでどうしても手元が狂ってしまうのだ。
とりあえずキーレス・エントリーの機能だけでも何とかしたい。
とはやる気持ちを押さえつつ、慎重に作業をつづけることにした。

(つづく )

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