[メンテ17]
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第2話 「サーキットを走ろう。でも、B10は曲がらない。」
(作成:1997年10月18日 改訂:2006年9月17日)
(TEXT : OZW / E34-ALPINA B10 Biturbo & E32-750iL )
B10のメンテ始めたばかりですが、多くの方からメールをいただきました。反
響の大きさに、少々びっくりしています。もっとも、B10そのものではなく、
750とか他のシリーズのチューンについての質問だったりが多いのですが、会
ったこともない方からメールいただくと、自分もインターネットに参加している
んだと実感できて、なんだか嬉しくなります。仕事の関係で、2週間ぐらいパソ
コンの前に座らないこともあって、返事が遅れることもありますが、必ず返事は
書きますので、これからも、応援してください。
<サーキット走行のすすめ>
さて、今週は、サーキットの話から。
私の場合、買った車は、必ず一度は、サーキット場に持ち込むことにしています
。面白いから、というのもありますが、一番の目的は、その車の限界を知ってお
くためです。ブレーキをどこまで踏み込むとロックまたは、アンチロックが働く
か、どの程度で止まるか、フルブレーキを何回やるとフェードするか、コーナリ
ングは、どの程度アンダーか、どこまでいくとリアがスライドし始めて、さらに
どこまでやるとスピンするか。この間、車は、どんな挙動を示すか、あるいは、
不具合はないか、こういったことは、サーキットでしかチェックできません。
実際、公道でそこそこ曲がると思っている車でも、サーキットで走ってみると、
とてつもなくアンダーステアだったりします。例えば、R32のGT−Rを初め
て持ち込んだときなどは、中速コーナーはともかく、ヘアピンでのアンダーのす
ごさには、もうあきれてしまいました。
セルシオをサーキットにノーマルのまま持ち込む人間はそうはいないと思います
が(私はやりました。このときは、注目の的。一躍ヒーローでした。)、結構ち
ゃんと走るんだという発見をすることが出来たりします。
それと、サーキット走行に慣れておくと、公道では、無茶をしなくなりますし、
パニック時の対処なんかも冷静に出来るようになります。
実際、こんなこともありました。
15年ほど前、東名高速で玉突き事故が目の前で起こりました。トレーラーがそ
の先の渋滞に気づくのが遅く、衝突後ほとんど横向きになって道をふさぎました
。すぐ後ろの右車線を走っていた私は、フルブレーキを試みましたが、レースの
経験から、間に合わないことはすぐわかりました。車は、カリーナGT(2TG
改2.0....これがわかるのは35歳以上の人でしょうな)、もちろんアンチロ
ックは付いていません。ブレーキを少しゆるめると(タイヤがロックしたままだ
と、ハンドルを切っても曲がらないことは、ご存知ですね。)、路肩に空いてい
た隙間を見つけ、そこに突っ込みました。
私の左を走っていた方は、お亡くなりになったそうです。
BOHPのオフミでもサーキット走行が企画されているようです。(もう、締め
切りかな)今度、こういう機会があったら、是非参加してみてください。
<はじめてサーキット走行する人へ>
私は、頼まれてサーキット走行のインストラクターをやったりするのですが、こ
のとき初心者の方に必ず言うことがあります。
1 レース場で起きる事故の8割以上は、はじめてサーキットに来た人によって、
しかも、はじめの数周で起こされる。特に速い車に乗っている人は、勘違いして
(車が速いだけで、決して貴方が速いわけではない)、コーナーにオーバースピードで
突っ込んでいってしまう場合が多い。
2 初めての人は、無茶苦茶突っ込んでいく人と、反対に慎重になりすぎて、
教習場にいたときのような運転をする人がいるが、どちらも危険である。
3 レース場によって、事故の起きる場所とその起こり方のパターンはだいたい決まっている。
レース場のスタッフなどから、よく聞いて、自分は同じまねをしないこと。
4 できれば、はじめの数周は、ベテランの人の助手席に乗せてもらうか、
ゆっくりめに先導してもらうと良い。
こういう風に書くと、ちょっとビビッてしまうかもしれませんが、要は、はじめ
の数周はゆっくりから徐々にスピードアップしていき、常ノバックミラーを見て
後続車の迷惑にならないよう、道をあけるということ。慣れてきて、元気に走る
ときは、スピンしていい場所といけない場所があるので、それをしっかり頭に入
れておくこと。この二つさえ心がけておけば、こんな楽しい遊びはありません。
ぜひ、トライしてください。
<B10のサーキット走行>
さて、話がだいぶそれましたが、いよいよB10をサーキットに持ち込みます。
平日の午前中ということで、練習走行に来ている車は、全部で8台程度。これだ
け空いていると、他を気にせず走れます。まずはウォーミングアップ。水温、油
温の他にミッション、デフのオイルも暖めます。数周流して、これはOK。
ブースト圧をいっぱいにして(EVCが付いていて、雨の日などは、加給圧を下
げて乗ってくださいということらしい。)、最終コーナーを出たところでフル加
速。ヒュッー、気持ちいい。加速感は、以前乗っていたGTR改420馬力仕様
とほぼ互角。1コーナー、いつもより手前でプレーキング。スゲェーッ効く。ノ
ーマルでここまで止まる車は、はじめてだ。しかもまだこれは、フルブレーキン
グじゃない。いやいや買って良かった。そのまま、ヒールアンドトゥーで2速ま
で落として、コーナー侵入。コーナリングもスムー・・・・・・・・
えっ?何だあ、こりゃぁ、曲がらんぞー(興奮のあまり名古屋弁)。ギクシャク
ギクシャク。こんな変な感覚は、はじめてだがやーーー。(怒りのあまり名古屋
弁)スピードを緩めてS字を抜けたところで、気を取り直して、ちょっと元気に
ヘアピンに突っ込むと今度は、左リアサスペンションからゴトゴトといういやな
音。やはりギクシャクしてスムースに曲がれない。そのままピットイン。とりあ
えずジャッキアップして覗き込んでみても、異常はなさそう。そういえば前に、
RX7でサーキットを走行中、縁石に乗り上げて右フロントのショックがいって
しまったときも、なんか変なコーナリングだったっけ。まあ、これとはちょっと
違うけど、4本中1本のショックがアウトになっていると直感しました。それと
あのゴトゴト音、ブーツが破れてグリース切れを起こしたときのような音だし、
やはり、ショックがおかしいとしか考えられません。
でも、ショックは納車前に4本とも交換されているはずだし、その後縁石にぶつ
けたことも、何か踏んでしまったということもありません。それどころか、過激
な走りも、今回が初めてです。もう一度覗き込んで、色々見てみると、アキュム
レーター(オートレベライザー用のオイルを溜めておくポンプ)からショックに
つながっているホースの付け根でオイルが滲んでいるようです。
余談ですが、同じチューナーでも、AMGは、レベライザーを殺してしまって、
ちょっと堅めのビルスタインをつけるのに対して、アルピナは、レベライザーを
生かしたままチューンする手法をとっています。このためB10は、フロントに
ビルスタイン、リアにBOGEと前後で異なるショックメーカーを使う非常に珍
しいサスペンションになっています。
さて、まともに曲がれないB10(といっても普通に走る分には、支障ない)は
、たった1周でサーキットを後にして、ニコルに入院となりました。
一週間後左リアショック交換で完治。原因としては、前回の取り付けが悪かった
のか、不良品だったのか、実はこの一本だけ交換していなかったのか、わかりま
せん。クレームということで、今回の修理は、すべてタダ。まぁ、完治したのだ
から、原因の追究はしませんでした。
ちなみに、4本ショックを交換すると100万円だそうです。確か750の方も
70万ぐらいかかるとか聞いたし、これは、ちょっと考え物ですね。私の仲間内
では、B10ビトゥルボをB10カネトルボ(金取る坊)と呼んだりします。
5シリーズにもレベライザー付きのがありますよね。それだといくらぐらいなん
でしょうか。
ところで、私は、これまで他人の車も合わせると20回か30回ぐらいショック
の交換をしてきました。何百台と交換してきたショップもあるでしょうが、私の
ように、交換した車すべての走行テストを徹底的にやるところはないと思います
。こういう意味では、ショックに関しては、ちょっとした評論家かなと自分で勝
手に思ってたりします。
が、レベライザー付きのやつは、自分で交換したことがありません。
それで、色々調べてみると、意外なことが分かったりしました。この辺の所は、
次回に、乞うご期待あれ。
ということで、次回は、全BMオーナー必読!! メーカー別ショックのお話を
したいと思います。
*購入後、走行1000q 平均燃費8.4q/l メンテ費用0円
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