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第1話 「運命の赤い糸」

(作成:1997年10月7日 改訂:2006年9月17日)

(TEXT : OZW / E34-ALPINA B10 Biturbo & E32-750iL )

みなさん、はじめまして。アルピナB10ビターボのメンテを担当 することになりましたOZWです。
私の経歴、車歴、この連載をどんな感じで持っていこうかなどと言 うことは、筆者紹介を読んでいただくとして、先ずは、B10購入 のいきさつからお話ししたいと思います。

私がB10に始めて乗ったのは、三年ほど前、野辺山の取引先の社 長に乗せてもらったのが最初でした。ただ助手席に乗っているだけ なのに、その圧倒的な加速、コーナリングのすばらしさ、高速安定 性、どれをとっても感動的といえるものでした。欲しい!と思いま した。とはいえ、2000万近くもする車、そうそう買えるもので はありません。
時は過ぎ、ちょうど一年前、横浜の港北にある私の会社に出向いた ときです。たまたまというか、実は道に迷いまして、都築にあるニ コルの前を通りかかったんです。なんかいっぱいBM並んでるなぁ、 まあ道でも聞くついでに見ていこうか、ということで、立ち寄った んです。
私の住まいである岐阜では、滅多にアルピナなんかには、お目にか かれません。あるところには、あるんだなどと思いつつ、なにげに このB10いくらなの?と聞くと、諸費用込みで700万ちょっと と言う返事。5年落ちとはいえ、ボディーはまだぴかぴか。認定中 古車ということで、整備も万全、ショックも交換済みで、保証もつ いているというし。
ああ欲しい!
さらに、この車の前のオーナーの話を聞いてみると、なんとこのB 10,3年前に私が乗ったあのビターボそのものではありませんか。 これを赤い糸と呼ばずしてなんと言うのでしょう。買うしかありま せん。
しかし、このとき私には大きく立ちはだかる問題があったのです。 妻です。家内です。奥方様です。
実は、この一ヶ月前、AMGが納車されたばかりだったのです。
「私には、指輪ひとつかってくれないのね。」という言葉を無視し て、買っちゃったんです。「EクラスのベンツだからSクラスのよ りだいぶ安いんだよ。」とは言ってありますが、この上、いくら中 古だから安かったと言い訳しても、通じそうにありません。
そこで登場するのが、高校時代からの悪友S氏。横浜在住の彼に頼 み込んで、好きなときにいつでも乗っていいという条件で、S氏名 義で購入するという作戦をとったわけです。
妻はかなり疑っていますが、私は、今でもS氏のを借りて乗ってい ると言い張っています。

ここで、若い方々に一つ助言。自分に何か後ろめたいことがあると き、決して彼女や奥さんにいつもより優しくしてはいけません。必 ず勘ぐられます。私の場合、仕事でアメリカに行って、いつもなら チョコレートとかビーフジャーキーぐらいしか買ってこないのに、 ティファニーで指輪なんか買ってきたものだから、もう大変。
どこで浮気してきただの、愛人が出来たんじゃないかとか、変に勘 ぐられてしまって。でも今更、車のことも言い出せなくて困ってい ます。

さて、横浜ナンバーをつけてもらったこのB10、このように家庭 内不和の原因を作ってくれたほかにも、さまざまなトラブルに巻き 込んでくれます。

次回は、サーキットに持ち込んで、なんじゃこのサスペンションは! となった事件をお送りしたいと思います。

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