[メンテ23]  (←前) (次→)

第18話 「下半身の柔軟性は…」

(作成:2001年10月29日 改訂:2001年10月30日)

(TEXT & PHOTO : kuma3 / E21-320i )


 “バイエルンの山猫” E-21系320iA 再生物語
Vol.8:‘94年12月号 『下半身の柔軟性は…』




 エンジン、A/T、車室内…とレストアを続けながらも、未だに収まらない不安定 な振れ。リヤタイヤは均一な磨耗をしている(強いてあげればIN側の方がやや早く 磨耗しているが、これはネガティブ・キャンバによるものだろう)が、フロントはバランス 取りをして、センター合せを厳密に行ってもIN/OUTそれぞれのショルダーが極めて 早く磨耗していて、この事からもきちんと路面を捉えきれていないのがわかる。 今期の集中レストアは、足回りに重点を置いて…。

 ちょっと待った!。スタビのブッシュやステアリングダンパ等、交換したとはいえ、 異常な磨耗はフロント側だ。逆にリヤの踏ん張りが利かず、フロントにしわ寄せが 行ってるのかも?リヤの剛性を高めれば、直進安定性は向上するはず。 (何かを交換することで、気を紛らわせていたこの時期)。どこかを替えれば挙動が 変わる…それは、どこを…?。

 リヤのサブフレーム・マウントラバー、同スタビライザー・ブッシュ、同トレーリング アーム・ラバーブッシュなどを総交換した。確かに経年劣化によるクラックが多数 入ってはいるが、切れ切れになるほどひどくもない。交換後の試走でも、時たま フロントに荷重をきちんと受け止めたような時は、リヤもしっかりと“蹴飛ばして” くれるのだが、直進状態でも、少し高速になると相変わらずのバタツキ感で、危なっか しいたらありゃしない!。路面でも凍結していたら…と、つい、乗る機会も少なくなる。 車庫の壁に貼ってある写真は我が家に来た頃の320i。あれからもうすぐ3年になる。

 リヤサイドウィンドとウエザストリップ、ヒーターホース2本、A/T〜オイルクーラー 間のホースなど、気になっていたラバー部品を交換する一方、フロントのハブ、 ホイールベアリング、オイルシールに至るまで全て交換し、この時点で考えられる 足周りの関連部品は全て手を入れた(…つもりだった)。芽吹き始めた木々の間 を縫うように320iを駆りながらも、どこかすっきりしないのは足回りだけでなく、エンジン の燃料系統にもトラブルが出始めていたからだった。

 何度となくイグニッションキーをひねってもエンジンに火が入らない。フル・トラから ポイントに戻し、またフルトラへ…。ランアップコントロール、二次エアバルブ、アキューム レータ、フューエルポンプリレーなどなど、手当たり次第に交換し、ついにはエンジン ルーム内の全ハーネスまで取り替えたうえで、最後に手がけたのがフューエル・ディストリ ビュータ(燃料分配器)であった。(Kジェトロの「燃料デスビ」については「オールド タイマー誌’98年12月号」等を参照いただきたい)


燃料デスビを上から見るとこんな感じです。 ホースを取付けてある4本のボルトの頭にある 印は某「スリーポインテッドスター」ではなく ボルトに開けられた流路の位置を合せて組む 目安の為に後からつけた印です。

私が分解整備を思い立った時にはこのような資料や情報も知らず、パーツの問い合わせ をすれば「半年待ちで13万円!」などと言われ…。で、結局は解体屋で偶然にも同型 部品が手に入ったので、ダメで元々、分解してみるとコントロールプランジャに 引っかかりがありスティック目前だった。 この後が大変、Oリングを切らないよう薄くグリスを塗っていたのだが、何しろ精密な 構造でホコリ1本許されない(漏れ・作動不良など)ドイツの技術者魂の結晶であり、 組み立てて装着しキーを回してはガソリンが滲み…を幾度となく繰り返し(やってる方 も半分は意地、残りはヤケ?)何とかコツがわかったのは3日目だった。

【結論:プランジャ以上は分解しない方がイイ】

〜 続く 〜


[メンテ23]  (←前) (次→)