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第21話 「山猫、危機一髪!」

(作成:2001年11月1日 改訂:2001年11月2日)

(TEXT & PHOTO : kuma3 / E21-320i )


 “バイエルンの山猫” E-21系320iA 再生物語
Vol.11:‘00年8月号 『山猫、危機一髪!』




 97〜98年にかけては点火系統ほかエンジン周りにマイナーなトラブルが時々発生。 といっても、ヒューズボックスの裏をつついたときにコードを隣の端子に差し込んでしまい、 フューエルポンプが作動しなくなったとか、フル・トラのハーネスが接触不良で、エンジン が始動できずに慌てた程度の軽い(どこが?)トラブルでした。99年は私のちょっと した入院のため、ほとんどかまってやれずじまい。時代は「世紀末」というコーナーを ゆっくり曲がっていました。

 『夏』旧車にとっては試練の時。紫外線に赤外線、突然の豪雨、車内に落ちる塩分 過剰の砂…、様々な巡りあわせ。

 94年の夏、家族連れで鳥取へ海水浴に行った帰り、目詰まりを起こしていた フューエル・フィルタは炎天下の駐車で容赦なく熱せられ、配管内で沸騰したガソリン はたちまち気泡を含み、渋滞でエンジンルーム内は更に高温になって、イグナイタ・ ユニットですら触れないほど熱くなり…これで無事に走れるわけが無い。行きは 2時間足らずの道のりが、帰りは5時間オーバー。少し走ったかと思うと、たちまち ガス欠症状が発生し、道端の空き地に車を停めては冷えるのを待ち…で、帰宅した時 は、もう、へとへと…。とんだ家族サービスになってしまいました。今なら燃料デスビ の供給側のボルトにウエスをあてがって緩めて気泡を抜くとか、いくらかでも対処の しようもありますが、当時は、K・ジェトロの仕組みもよくわかってなかったので、 仕方なかったです。翌日、エンジンルーム内に取付けていたイグナイタ・ユニット を車内のグローブボックス内側上部に移設し、フューエル・フィルタを外してみれば 長年溜まったゴミが出てくるの何ので、情けないやら、おかしいやら…もう、笑うしか ありませんでした。気を取り直して交換しましたが、しばらくの間は 「ねっ、今日は止まらない? ねぇ、大丈夫??」と子供達に疑惑のまなざしで見られ、 トホホなファミリーカーでした。




 そんな事があってからは、極力、真夏は乗らないようにしてきたのですが(←過保護 …ともいう)近年は冷却系のダメ出しとモディファイを重ねたお陰で、A/Cを使用しても 水温計の針は中央少し右程度まで安定してきたので『世紀末の夏を独り占め』とばかり に出かけようと、国道を挟んで斜め向かいのスタンドへ。2000年8月6日の昼下がり。

 伝票にサインをして車に乗り込もうとすると、やけにガソリン臭い!。車の下には、はや 1m四方ほどの大きな染みが、そして、燃料タンクの下から滴るガソリン。くわえタバコ だったら…、気付かずにエンジンをかけていたら…、今頃は…。バッテリーのマイナスを 外して何とか押して戻り、慎重にジャッキアップしてウマをかませ、まずは満タン状態の ガソリンを抜き、燃料タンクを降ろしてみると、左右の燃料タンクの上側でつないでいる 水道ホース程の太さのホースが劣化により縮んで、差込み口からホンのわずか外れ かけていたのでした。耐油性のホースとはいえオイルならまだしもガソリンの蒸気 にさらされていては劣化も当然ですが、過去にどこかで修理した際、本来、使うべき ではない材質のホースを使用していたのは同業としてもショックでした。今回は、正規 の材質で長さを少しゆとりをもたせて交換しています。

〜 続く 〜


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