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第22話 「復活の日」
(作成:2001年11月2日 改訂:2001年11月2日)
(TEXT & PHOTO : kuma3 / E21-320i )
“バイエルンの山猫” E-21系320iA 再生物語
Vol.12:‘01年4月号 『復活の日』
最悪、『爆発・炎上』もありえた(それもスタンドで!)320iは、かろうじて危機を
切り抜け、もとの平穏な日々に戻りました。いつもは野良猫の爪傷除けの古毛布
に包まれて、ガレージの扉が開けられるまでの休息の日々に…。
そして、92年以来、いやそれ以前からの持病である『不定揺動症候群』の原因は、
意外な見落としにありました。いつの頃からか、ジャッキアップする前にタイヤを揺する
のが習慣になっていました。ハブもベアリングもジョイントも交換し、ガタが出ていない
とわかっていても、つい癖のように揺すってしまうのは、未だつかめぬ『不定揺動』の
原因をハブベアリングに期待しての事だったのでしょう。そして、この日もまた同じよう
に揺すった後、オイル交換のためにジャッキアップしてウマを掛け、車の下に潜ろう
とした時のことでした。何気なく伸ばした足がタイヤに触れ“コトッ”と小さな音を
たてました。「ステアリング・ギヤボックスの遊び、そんなに大きく取っていたかな?
だったらもう少しコモったような音がするはずだし…」ふと、思い立って車の下から
這い出し、タイヤを操舵方向に揺すると、はっきりと“コトコトッ”と音を立てるでは
ありませんか?。急いでギヤボックスの遊びを締め込んで揺すると、また“コトコト”
と音がします。間違いない!『ギアボックスと右のタイロッドの間にあるボール
ジョイントのガタつき』でした。
部品を発注してから届くまでの間、取り外したタイロッドを手で揺すっては“コトコト
、コトコト…”音を聴いていました。「我が家にやってきてから、はや10年。その間、
この320iは必死に体を揺すりタイヤを片減りさせながら必死になって訴えていたんだな。」と
思うと胸が切なくなりました。「どうせ旧い車だから…」となかばあきらめかけていた私
ですが、320iは私を見限ってはいなかったんですね。 ごめんな。そして、ありがとう!
さんにぃまる、あい…。
4月初旬、各地から桜の便りがちらほら届く頃。リフレッシュされ念入りにWAXを
掛けた320iを駆って、開通真近の『やまなみ街道』へ。アップダウンに富んだコーナーが、
様々な顔で二人を迎えてくれる。無理に脚を踏ん張ったり、ステアリングを慌てて
修正しなくても、思い通りのラインを描きながら立ち上がってくれる『オン・ザ・レール』感こそ、
話に聞くたびに、いつか自分自身で味わいたかった『BMW』の乗り味。小柄な体に
敏捷さを秘めながらもおだやかな、そのたたずまい。
“ バイエルンに生を受け「黒い森」に育まれし“山猫” 健やかなれ 雄々しくあれ”
Vol.1から12までの長きにわたりレイアウトなど、お世話になった『中橋@BMWおたっきーず』
氏をはじめ、B.O.関係者の皆様、また、中年らしく粘度の高いストーリーを最後まで読んで
いただいた皆様方、ありがとうございました。
いつか、どこかでお会いできたら、また、その時は…
24.Oct.'01 #10072 kuma3
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