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第212話 「WTCCルックへ〜ロールケージの製作事前打合せ」
(作成:2007年9月16日 改訂:2007年9月17日)
(TEXT & PHOTO : 中橋 / E90-320si & MINI Cooper Convertible)
(Special Thanks : サイトウロールケージ)
さて、資料も準備できましたので、サイトウロールケージさんを訪ねました。
場所は埼玉県桶川市、都心からは車で2時間程度です。
ファクトリーに入ると複数放し飼いされている犬の歓迎を受けます。
さっそく作った資料と、ストローで作ったサンプル?(^-^;)を見ていただきながら、
僕の熱い思いを伝えました。
そして、恐る恐る、引き受けていただけるか伺いました。
すると、
「こんなAピラーの処理は見たことないなぁ。」
ですよね・・・僕もWTCCマシン以外で見たことないですから・・・。
「かっこだけなら困るんだよねぇ・・・」
なにやらサイトウ社長と職人さんたちがいろいろと相談をはじめています。
で、いろいろと質問を受けながら話し合いが続き、
「まぁ、こんなのうち以外じゃできないよなぁ。」
はい、百も承知でここに来てます・・・。
「ボディ剛性が出る形で、できるかぎりこの雰囲気がでるよう、引き受けましょう。」
ありがとうございます〜〜〜っ!
そんなこんなで2時間程、打ち合わせをしてイメージが固まりました。
もちろんBOB師匠が夏休み明けには改めて相談するので、
その旨もお話しておきました。
実際他にも決めなければならないことがありましたので以下補足して
決めたことをメモしておきます。
まず、ロールケージの素材・太さ・肉厚です。
素人の僕にはさっぱりだったのですが、スチールやクロモリを実際に
持たせてもらって重さの違いを確認しながら、
安全性と強度と重さのバランスでクロモリを選ぶことにしました。
サイトウロールケージさんで取り扱っているパイプの種類と重さは以下のとおりです。
■材質重量比較例
※1mパイプの量端に冷間鍛造ジョイントを付けた比較
スチール管 40Φ 肉厚2.0mm=2.4kg
スチール管 38Φ 肉厚2.6mm=2.6kg
スチール管 35Φ 肉厚2.0mm=2.0kg
クロモリ管 40Φ 肉厚1.6mm=2.0kg
アルミ管 40Φ 肉厚3.0mm=1.0kg
アルミが軽いのは当然ですが、万が一のときはクロモリのほうが良いそうです。
まずないとは思いますが、折れた場合にアルミのほうが危険ということのようです。
(E46-M3でのダッシュエスケープタイプの例)
あとはフロント部分の処理についてはダッシュ貫通ではなく、
いわゆるダッシュ逃げタイプよりも改良されたエスケープタイプというものになりました。
ダッシュ逃げよりもフロアからの立ち上がり部分をストレートにして
乗降性を大幅にアップしたものだそうです。
これでダッシュボード脱着、加工する必要がなく足元広々になるそうです。
(レーサー伊藤号@E39-M5での定員変更なしの後部座席例)
さらに後ろに人を乗せることを考慮して定員変更なしの設計とするなら、
ロールバーパットも検討する必要があります。
もちろんロールバーパットについても極力実車同様のスタイルにすることになりました。
車検を通すために、最低限頭の当たりそうなところには巻くアレンジは行ないます。
(レーサー伊藤号@E39-M5での白いロールバー・パッドの例)
ロールケージのペイントカラーはお手本同様、もちろん白!にするなどと
細かいことを決めていきました。
最も拘りを感じた部分は、ロールケージの取り付け方法です。
ロールケージだけを造り続けて30年というノウハウは伊達ではなく、
ただ取り付けるのではなく、3次元の立体的なパイプの曲げ方として、
内側から外側のピラーに対してものすごい圧力をかけてピラーと一体化
するような作り、かつ取り付け方になっています。
これにより大幅なボディ剛性アップが見込めるのだそうです。
お客さんの車でフロントを大破してもAピラーがびくともせずに、
窓ガラスが割れなかった事例があるとのこと。
ということで、あとは実際に作業前に実車合わせをしながら
再び打ち合わせしましょうということになりました。
実際の作業は2週間ほどだそうです。
打ち合わせが終わっても、ファクトリーの施設や過去の施行例などを
いろいろと説明していただき、話がつきることはありませんでした。
パイプを曲げたり、板を曲げたりする巨大な機械も実際に動かして
見せてもらったり、社長、スタッフの皆様に大変よくしていただきました。
この場を借りて感謝です。本当にありがとうございました。
ちなみに、今回のワンオフロールケージは
「ワンオフタイプ16点式 クロモリ材40Φ ボルト留め 定員乗車タイプ」
と呼ばれるものになるようです。
16ポイント・・・って相当にすごいロールケージですよね・・・(^_^;)
過去のワンオフ事例を見ても、フル溶接のものを除外すればトップクラスに
ややこしいロールケージになってるようです。
お値段ももちろんそれ相応の金額ですが、でも安全のため、命のためですし、
それに職人さんが手間をかけまくるんですからリーズナブルだと思います。
正直、その金額よりも、まずこの無茶な要望が実現できる、ということに感激しました。
さて、BOB師匠が夏休みが終わったので、作業の内容を伝えて再びミーティングです。
次回に続く!
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