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第37話 「M3セダン:ユーザー車検体験記(2)」

(作成:2000年5月19日 改訂:2000年5月20日)

(TEXT & PHOTO : wata@M3 / E36-M3 )

■その3:検査(1)

検査場に向かってラインが引いてある。7番か8番ラインへ、との指示があり、8番ラインへ 並んだ。前には数台のクルマが待っている。
検査官が近づいてきたので、例によって「ユーザー車検です」と言いながらクリップボード を渡す。
「ボンネットを開けて下さい」との指示でクルマを降り、エンジンルームのチェックを受けた。 懐中電灯を使って、なにやら奥の方まで覗いている。後付けのストラットタワーバーや セキュリティシステムのユニットには、当然ながら目もくれない。
要はシャシーナンバーの確認と、油脂類漏れのチェックだと思われた。ボンネットを閉め、 乗車するように言われる。


M3


灯火類のチェックだ。
ヘッドライト/ウインカー/ハザードを指示通り点灯させる。検査官が後ろへ回り、ブレーキ ランプ/バックランプも併せて検査された。
クルマの周りを回りながら、長いハンマーでホイールを軽く叩いている。 運転席の側に来て、ウィンドウの開閉を指示された。
次にドアを開けるように言われたのでそのとおりにする。なにやら車内を覗き込んでいる。 何をチェックしているのだろうか。ま、疾しいことは 何一つないはずなので、心配はない。
最後に「このサイドミラーは折りたためるのですか?」と聞かれた。もちろん正直に、 「折りたためません。衝撃が加わると外れるようになって います」と答えた。ちょっと怪訝な顔をされたが、純正品であるし、問題はないだろう。 外観検査は合格。ハンコをもらって完了だ。

「車検は初めてですか?」の質問に、そうだと答えると、検査場を一通り見学した方がいい と言う。なるほど、全くその通りだ。
クルマをいったんラインから外して駐車し、検査場の中へ入ってみた。検査ラインに並行 して見学コースがある。ちょうど歩道から車道を見ているような感じだ。 おりしも1台のクルマが目の前のラインに入ってきた。いっしょに歩き、手順をアタマに 叩き込む。
最初のパートはサイドスリップ検査、次のパートではタイヤをローラーに載せてスピード メーター/ブレーキ/ヘッドライト検査だ。
先に進んで排気ガスチェック、ここでやっと検査票にスタンプするのか。
次に進んで下回り検査。出口でもう一度スタンプを押し、検査終了だ。
最後に書類一式を料金所のようなところにいる検査員に渡して完了、というわけか。
こうして何台かのクルマを追いかけた。クルマを再度戻し、検査ラインへと進んだ。



■その4:検査(2)

査場内への進入直前で、あることを思い出した。ヘッドライト検査用にロービームをカバー する必要がある、ということだ。
念のため、先ほど外観検査を行った検査員に聞くと、「そうですね、4灯式ですからカバー して下さい」と言う。あぶなかった、忘れるところだった。
ガムテープで特製「ロービームマスク」を貼り付ける。今度こそOKだ。クルマに乗り込んで 前へ進む。
だいぶ空いてきたようで、入口まで待たずに進むことができた。前のクルマが検査中なので、 入口の電光掲示板には「待機」の文字が。
これが「進入」に変わったら検査開始だ。どきどきしてきた。そして、「進入」の文字が 表示された。


M3


まずは、サイドスリップ検査。
ワタシのM3はサスペンション/ホイールなど一切ノーマルであり、直進性にも問題はない のでまず大丈夫だろう。
1速にシフトし、アイドリングでゆっくり進む。ステアリングには軽く手を添えるが、当然 ステアしない。
鉄板でできたセンサー(?)の上を通過すると、頭上の掲示板に「サイドスリップ『○』」 の表示が出た。第一関門突破だ。
一旦停止して、次の指示を待つ。待っている間に、前方の四輪テスタが動いている。 M3のホイールベースに合わせてローラーの位置を調整しているのだ。サイドスリップ検査 のときに、自動的にホイールベースを測定していたらしい。うーん、すごい機械だ…。
指示に従い、四輪テスタにクルマを進めた。フロントタイヤをローラーに載せると、リア タイヤもぴったり載っている。この状態で、3つの検査を行うのだ。


M3


スピードメーター検査。
ローラー上でクルマを走らせ(?)メーター上で40km/hになったらパッシング、メーターの 誤差を計るというものだ。
ブレーキをはずし、ギアを1速に入れてスタートした。ローラーが「ギュオオオオオオ」と 唸り、車体が左右に振られる。こ、こわい!
が、恐がってばかりもいられない。2速にシフトアップし、メーターが40km/hで安定 するようにアクセルを調整する。
これが結構難しい。なかなか速度が安定しないのだ。
ようやく速度を保つコツがわかり、40km/h付近でパッシング。…何もおきない。もう一度。 あれ?
三度目に長めにパッシングして、掲示板からOKが出た。
アクセルを離してゆっくりとブレーキング、停止。あぁ、恐かった。

次はヘッドライト検査。
ハイビームにして待っていると、前方横から測定器が出現した。M3のヘッドライトに 合わせて動いている。まるで不気味なロボットだ。
左ライトから検査を始めた。しばらくして掲示板に表示されたのは「左×」。あれ? なんだそりゃ!?失格なのか!?
そうこうしているうちに右側の検査も始まった。と、何やら構内放送が。
「ヘッドライトのカバーを取って下さい」・・・って、おい!
クルマを出てカバーを毟り取るが、時すでに遅し。「右×」の表示が…。
なんなんだ!カバー要るんじゃなかったのか!?
全く肚が立つ。
頭に血が昇ったまま、無情にも検査は進んで行く。


M3


先ほどの余韻でアタマが混乱している。
ライトカバーをはずす際に一旦車外に出たのだが、クルマに戻ったときにサイドブレーキ を外すのを忘れている。そのままフットブレーキ検査が始まってしまった。
結果的に、フロントブレーキは「○」だが、リアは「×」。そりゃそうだ。
サイドブレーキ検査も指示が出てからレバーを引くことになっているので「×」。
結局、最後までサイドブレーキが引きっぱなしだったことに気がつかなかったのだ。
茫然自失。最悪だ…。

再検査を受ければいいや、などと半ばヤケクソになっていたところに 「そのまま待って下さい。もう一度やります」とのアナウンスが。天の声に聞こえた・・・。
再び測定ロボが出現し、ヘッドライト検査。祈るような気持ちで見守っていると、 「左○」の判定。よし!続いて「右○」。ヘッドライト検査合格だ。
続いてブレーキ検査。掲示板の指示通りに、慎重に、かつ強くブレーキを踏む。
「前○」「後○」。サイドブレーキもここで始めて操作し、「○」。
やった・・・。車内で小さくガッツポーズをした。
後ろのクルマをだいぶ待たせてしまった。手を振って、次へ進んだ。汗びっしょりだ。

排気ガス検査を行う。
停止線でクルマを降り、「プローブ」と呼ばれる検査棒をテイルパイプに突っ込む。 実はこの検査を結構心配していた。
何と言っても並行輸入車、本当に排ガスはクリアできるのだろうか。
こればっかりは事前に自分でチェックすることもできず、ただ運を天に任 せるしかなかった。
「排気ガス検査中」の表示がなかなか消えない。まずいなー、と思っていたらやがて 「○」が出た。よかった・・・。
ここで自動車検査票にスタンプを押す。排ガス測定器の横にある自動検査記録機に検査票 を入れると、「ガチャポン」と音がしてスタンプが押された。

最後は下回り検査だ。
クルマを進め、前輪を指定の位置にある鉄板の上に載せる。いままでの検査は全く無人の 自動検査だったが、ここはピットのようになっており、下から検査官がチェックする。
電光掲示板の指示通りにエンジンを切り、ステアリングから手を放す。「振動装置作動中」 の表示とともに、フロントタイヤが左右にグリグリと曲げられ、それに合わせてステアリング が左右に激しく切られ始めた。当然、車体も大きく揺すられる。
見学でチェックしてはいたものの、ものすごく恐い。
やがて次々と指示が出る。ブレーキを踏む/サイドブレーキを引く/クラッチを踏む。
その間、下回りを何かで叩いているようだ。
そうこうしているうちに、「○」が表示された。クルマを前へ進めて再び「ガチャポン」。
検査場出口のボックスにいる検査官にすべての書類を提出。いくつかハンコをもらい、 書類を返された。ああ、やっと終わった…。


M3


クルマを検査場から出し、陸運支局事務所の前で駐車した。書類を持って、交付窓口(6番) へ行く。
前に2人のおにいちゃんが手続きを待っている。自分の番になったので、書類を渡した。
係員はチェックしたあと、継続審査申請書(唯一、マークシート式の書類だ)を機械に 挿入した。傍らのプリンターが動き出し、新しい車検証が吐き出され、「5」と記された 赤い車検ステッカーとともに手渡された。有効期間は「平成12年」となっている。
これで、すべての手続きが完了した。
こうしてワタシのM3は、継続検査を無事に(?)一発で(??)クリアしたのだ。


M3


(続く)


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