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第48話 「車両保管と私」
(作成:2005年9月6日 改訂:2005年11月28日)
(TEXT & PHOTO : 江工作 / Z3)
今回は,ある板金屋さんにて興味深いお話を聞くことができましたので,かいつまんでご紹介します.
ただし,これはあくまで一業者の見識であり,すべて正しいとは限りません.
さて,まずはボデーパネル等が錆びて穴があくメカニズムとその補修について.
錆びは通常,ボデーパネル裏面から表面に向かってすり鉢状に進行するそうです.
それは,当然ながら表面は洗車・ワックスがけ等で手入れができますが,
裏面には手が届かないので,錆びていても見えないためです.
よって,表面上は全く錆びていなくても,図のようにすでに進行していると考えて間違いないとのことです.
既述したように,パネル裏面は手入れが届かず,
そのうえ雨水などの通り道にもなる箇所もあり,なおかつスポット溶接などもあります.
当然,スポット溶接部には塗装はなく,溶接されている時点で酸化は起こっています.
つまり,できたての新車を除く全ての車は,多少なりとも錆びているものだ,ということです.
このことは,板金屋さんが補修をするときにも言えることのようで,表面の塗装を剥がしてみて,
錆びがあれば治す.そうでなければそのまま.
ですが,表面には見えていないだけで,錆びはすぐそこまで進行しているかも知れません.
よって,たとえきれいにレストアしても,少し時間が経てばすぐにまた錆びが表面に出てくる,という図式です.
つまり,錆びているか否かということは表面上の議論に過ぎず,その実態はというと裏面は
多少にかかわらず錆びているということです.
このことをはじめて耳にしたときはちょっと意外でしたが,どうやら板金屋さんの業界では常識のようで,
修理の際に客に説明していないだけのようです.
ですから,治してもすぐにまた錆びるのは至極当然のこと,修理屋さんに文句を
言ってもしょうがないのですね.
もうひとつ,この修理屋さんから話をきくことができました.ロッカーパネルについてです.
錆びて穴があくと見た目に悪いだけでなく,機能面にも少なからず影響をきたします.
上の写真はZ3ではありませんが,ロッカーパネルが錆びてしまった車の例です.
画像だけではわかりにくいのですが,かなり腐食が進みジャッキアップもできない状態です.
ご存知の方も多いと思いますが,ここは中空になっており,水もたまりやすい箇所です.
ひどい場合,ここが完全に水槽になり,水抜きのためにわざわざ穴をあけたこともあるそうです.
普通は,このように必ず水抜き用の穴が設けられているものです.
しかし,ここに流れてくるのは水だけではありません.砂埃などもいっしょに入ってきます.
砂埃が水を吸って固まり,排水できなくなることがあるそうです.
Z3ロードスターの場合は,幌とボデーのつなぎ目のくぼみに砂がたまりやすいので注意が
必要かも知れません.
それと,サイドグリル,フロントフェンダー周辺,後期型はハイマウントストップランプのつなぎ目に
水がたまりやすいように見えますので,洗車後などはよく水を切るようにしたほうが良いと思います.
そういえば以前このコーナーで「ボデーカバーは着脱が面倒なので失敗した」という内容の記述を
しましたが,やはり全体を覆うカバーなら細かい部分への水と砂の進入を防げますし,
カバーのせいで多少傷がついても,あとで錆びを修復するよりはずっと楽なのは明らかなので,
今ではすっかり心を入れ替えてカバーを愛用しています.
この修理屋さんに最後にひとつ質問をさせていただきました.
「新車時から変わらない状態を保つには?」
『それは無理でしょう.車は屋外で使うものだし.博物館みたいな環境でしまいっぱなしでは,
車本来の使用ができない.世界遺産なんか,完璧な保存のために人間も近付けさせないでしょ?』
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