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第32話 「アイディングインプレッション −後編−」
(作成:1997年7月12日 改訂:1997年7月31日)
(TEXT :O−chan / E36-318is)
それは何の前触れもなく訪れたのです。
待ちに待ったこのセリフです。
Nさんが言いました。
『O−chan乗ってみる?』
エエェェェェェェェェェ!!ホントですかぁぁぁぁぁぁ
乗りますぅぅぅぅぅぅぅ!!
ドアを開けると、本皮の匂いがプーンと立ちこめていた。
とても頑丈そうな電動シートに座り、ポジション合わせをした。
『フゥゥー』と1回深呼吸して心を落ち着かせた。
クラッチを踏んでみる。
か、軽い!とても軽い。
私は筑波サーキットで試乗した強化クラッチ付きの
Mさんアイディング号の記憶が残っていたので少々ビックリした。
これなら町中も楽々です。
ニュートラルを確認して、キィをクイッとひねる…グオン…
316馬力を発生するスーパーNAが一発で目を覚ました。
マフラーからは腹に効く重低音サウンドを響かせた。
2、 3度アクセルをあおってみた。
シュワーン、シュワーン…
ち、違う!ぜんぜん違う。
吹け方はもちろん違うのだが、なによりダイレクト感が違います。
「アクセルと直結した…」という表現があるけれど、
それをここまで具現化してるとは!
ギヤを1速に入れ、クラッチを繋いだ。
「あれ?」
あまりにスムーズに発進するので驚いてしまった。
排気量が3リットルもあるので、我が318isと比べて
低速トルクが十分あるのは分かってるが、
もう少し神経質だと思ってたので感心してしまいました。
すぐさま2速に入れ、軽く加速したところで
ブレーキを踏んでみた…というよりブレーキペダルに足を
置いてみた。車速は20キロ以下。
「ん?」
な、なんか違うぞ。
タッチが違う…フワッとしたところがない。
極めてダイレクトなフィールだ。
これは期待できるぞ!!
早くちゃんと踏んでみたい。
2速のままターンパイク下りの入り口に差し掛かった。
遠くに心配そうに(?)見つめるNさんとMさんの姿が見えた。
「大丈夫です。壊しませんから。」とテレパシーを送った。
2速のまま、アクセルをグイっと踏んでみる。
シュワァァァァァァン!!
3速にシフトアップ。さらに踏んでみる。
シュワァァァァァァァァァァンン!!
ウオォォォォォォォォ、これだぁ、この感じだぁぁぁぁ!!
これぞアイディングだぁぁぁぁ!!
このタコメーターの針が狂ったように駆け上がる感じ。
忘れもしません。
M号試乗で味わったこの感覚。
特にココは下りですから…シャレになりません。
私の経験から判断するとエンジンのフィールはM3の3.0に似ています。
しゅう3さんのM3には何度か乗ったことありますが、
4000回転くらいまでのトルク感は同程度、
レスポンスはアイディング有利。
5000回転くらいから決定的な差が現れます。
簡単に言うとM3−3.0の6500回転以上のパワー感を
このアイディングは5500回転くらいから発生します。
そのまま高回転領域に突き進むと、この差はどんどん広がっていきます。
残念ながら私は8000回転以上回ると噂のこのエンジンを
限界まで試さなかったので分かりませんが、
7000回転上を使って走ったら快感の極致なのでしょう。
さて、M3の3.2と比べるとどうなのか!?
出戻りさんの3.2での経験を思い出すと…
まず1500回転くらいまでの低速域での粘りは3.2有利、
4000回転くらいまでのトルク感も3.2有利。
さて、ココからが問題。
正直言ってパワー感はほぼ互角と考えます。
違いはパワーの出し方。
3. 2は4000〜7500までかなりフラットなトルク特性なのに対し、
アイディングは二次曲線的なパワーの盛り上がりを感じ取れます。
つまり「どっちがスゴイか?」
というのは愚問で、正確にはどっちの演出が好みか?
という精神論にまで発展するくらい、どちらも強烈なエンジンです。
そもそもis乗ってる若造が優劣をつけようとする事自体間違ってますが…
(いいも〜ん、半分以下の140馬力で…)
さて話は戻って、
3速100キロくらいからブレーキを踏んでみた。
スポーツパッドによくある「キィィィーー」という鳴きを伴い
強力な減速Gが発生した。
「う〜ん、この減速感は出戻りさんのM3−3.2と同程度か…」
確かに効くことは効くけど……と思いながら3回ほどブレーキングを
繰り返した。
「ん?なんだか徐々に効いてくるぞ。いよいよ最適設定温度まで発熱してきたのか
な?」
なーんて思いながら、迫り来るコーナーに向けて3速のまま加速した。
コーナー手前でグッとブレーキペダルを踏んだ瞬間…
どんでもない減速Gに襲われたのです。
「グリリリリィィィィィィ…」
な、な、なんだこりゃあぁぁぁぁぁ!!!!
この音!この制動力!このペダルタッチ!
訳わからないので、もう一度挑戦です。
2速、3速と加速して…
さぁぁぁて、ブレーキペダルをグッと…
「グリリリリィィィィィィ…」
ゲゲゲェェェ!スゲー!スゲー!スゲー!
やめられない、とまらない、かっぱえ○せ○…
じゃなかった、このブレーキ。
もう一回やろう。そうしよう。
「グリリリリィィィィィィ…」
ウヒョー。効きます効きます、すごいです、このブレーキ!
いやー、楽しいです。ブレーキだけでこんなに楽しいとは。
しかしヤバイです。このシートでは…
座面も皮製なので、スペシャルブレーキの減速Gに耐えられず、
おしりが前に滑ってしまうのです。
4点シートベルトが欲しいくらいです。
折り返し地点に着きました。
興奮を冷ますために一度車から降り、背筋を伸ばした。
再度車に乗り込むと…今度は登りです。(半)全開です。
先ほどはエンジン、ブレーキをチェック出来たので、
今度はサスを含めたトータル性能をチェックしました。
ドッシリと落ち着いたサスペンションはすばらしいセッティングと
なってました。
進入で弱アンダー、コーナリング中はほぼニュートラル、
コーナー出口もアクセル踏み込まない限り弱アンダーとなっていて、
とても安全にコーナーを駆け抜けます。
運転してる最中は4ドアセダンであることを忘れてしまいます。
本気でコーナー攻めるにはシートが今ひとつですが、
全体的にとっても高次元でまとまってる車でした。
ターンパイク頂上に到着し、アイディングはオーナーのNさんの
元に帰りました。(もちろん無事で!)
開口一番出たインプレは、やはりブレーキに関してでした。
Mさんも今年装着を目標にしてるようです。
みなさんも、機会があったらこのスーパーブレーキと
スーパーエンジンを助手席体験させてもらいましょう。
(それならいいでしょ、Nさん!)
運転に自信のある人は、試乗をお願いしてみましょう。
(Nさん、絶句!)
アイディングコンプリートM3セダン恐るべし。
レーシングエンジン付きの4ドアセダン。
家族持ちの理想の1台がこんなところに存在しました。
またしてもレアなスーパーカーを試乗できて
ニコニコ状態のO−chanでした。
最後にNさんアイディング号のスペックを紹介して終わりにします。
車両重量:1530kg
重量配分:前770kg、後760kg
エンジン/M3−S2.タイプB
パワー316PS/7560rpm
トルク33.5kgm/6050rpm
ブレーキ/アイディングオリジナルAPロッキード
フロント
6ポットキャリパー/ローター径370mm
リア
4ポットキャリパー/ローター径330mm
ローター厚、前後とも28mm
サスペンション/アイディングオリジナル
ビルシュタインダンパー
アイバッハスプリング
ホイール/アイディングオリジナル
BBSマグネシュウム鍛造18インチ
DTMレーシング8.2J
(鍛造DTMレーシングより1本あたり3kg軽い)
タイヤ/ブリジストンーエクスペディアS−02
前225/40−18
後235/40−18
(終わり)
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