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第7話 「不整脈発生。V12、ご逝去か…」

(作成:1997年5月19日 改訂:1997年7月12日)

(TEXT : やまそうカンパニー / E32-750i)
V12の美点としては、ものの本には「絹のように滑らかな回転」とあります。

BMWのV12もふけ上がりや、パワ−の出方は「これこそ12気筒じゃい」と悦に入ってしまう ものです。(7000まで回れば言うこと無いのだけれど)

ところが、ことアイドリングに関しては、CGにも書いてあったように、どうも、行儀がよくあり ません。
結構、身震いをしますし、始動して早々にアクセルをあおると、息絶えてしまったりします。 この傾向は、太郎1号も2号も同じですし、回りのV12の飼い主も「同じ」と言いますので、B MWのV12に共通の傾向なのでしょう。

まあ、このアイドリングの不整も、かすかに感じられる程度のうちはよいのですが、新車時から3 年、4万キロも乗っていると、特に、寒い朝を中心に、相当の不整脈が出るようになります。いわ ゆる「ハンチング」という奴です。


1.ハンチング発生。
「うぅ−さみぃ−」きゅるきゅるきゅるがお−ん。がお−んがお――ん、が…・。
ハンチングがひどくなってくると、冷間時にエンジンがスト−ルします。特に寒いときはこの傾向 が著しくなります。

これは、たまらんと言うことでディ−ラ−に入庫しました。

原因はすぐ判明。いつもいつも、渋滞の中をずるずるはい回っているため、インテ−クにカ−ボン がたまってしまったのです。これを削り落としてもらって、ハンチングは解消しました。
やはり,BMWは高速走行向きの車なので、「渋滞を走行したあとは、回転を高速に保って2キロ 位走ってください」とのことですが、駅からの1キロの渋滞を走り家に着いた後で「2キロ回転を 上げて走ろう」にも、どこ走ればいいんじゃぁ。ということで、その後も、冬になると「カ−ボン ブラスタ−」してもらうの繰り返しで、しのいで来ました。


2. 心室細動・急性心不全。ご逝去か…。
そうこうしながら、幾冬かを越してきたのですが、太郎2号5冬目のある朝、発作は、急に太郎2 号を襲ったのです。

例によって、長めにきゅるきゅるとクランキングするスタ−タ−を回し、がお−んと太郎2号は目 を覚ましたのですが、お目覚め後直ちに、アイドリングが400回転位に落っこちてしまうのです。 アクセルを踏み込んでも、全くパワ−が出ません。
「おぉ−い。また片バンク死んだのかっっっぁあ―――。」
車の後ろに回ってみますが、片バンク死んだときのように激しい異臭はしません。それに、2本あ るエキゾ−スト(左バンクと右バンク1本ずつ)の両方から排気されており、両バンクとも生きて いるようです。
私はこの日、人生でこれほど忙しい日は無いというくらい忙しく、一刻も早く仕事場に着かねばな らなかったのですが、太郎2号を道ばたに捨ててゆくわけには行きません。
やむなく、タクシ−や原チャリ、あげくの果てには、ママチャリにまであおられながら、ずるずる と駅まで這ってゆき、駅の駐車場に放り込み、私は電車の人となりました。

ところが、帰宅の時には、症状が出ません。次の日も朝だけこの症状が出ます。しかも、走行して いるうちに徐々にパワ−が出てきて、10分くらい走ると、ケロっと治ってしまうのです。

そんなこんなを繰り返し、2週間ほどだましだまし乗っていました。なぜかって。なぜ修理に出さ ないのかって。それはね、いつか、夢のように治ってしまうんじゃないかと思っていたからさ(そ ういうあなたも身に覚えがあるでしょう。)
EMLがいってしまっていたらまた何十万円もかかるし、なんとか、なおってくれないかなあと思 いつつ乗っていましたが、人間さまの体とは違いますから「風邪ひきさん、はいなおりました」と いうわけには行きません。

ついに耐えかねて、入院となりました。


3. どこが悪かったのか。
入院にあたっては、引き取りに来てもらいました。

いつもお世話になっているフロントマンとメカのお二人がやってきて引き取っていってくれました が、ぐずぐずむずかりながら、這うように去ってゆきました。

さて、その後ですが、「BMWは修理工場に着いたら、お利口になる」の鉄則通り、太郎2号は、 症状を表さず何日かが過ぎました。
その間、ディ−ラ−では、怪しい部品を冷蔵庫に入れて冷やして冷え切ったところで素早く装着し てエンジンをかけてみるなど涙ぐましい努力をしてくれました。
ある日などは、症状が再現できたので、わ――――いとばかりにテスタ−があるところまでエレベ −タ−に乗せて移動させてたら、エレベ−タ−のなかで治っちゃった、なんてこともあったそうで す。

結局、EMLはセ−フ。イグニッションのパルスを検出している「トリガ−コンタクト」という部 品のご機嫌が斜めだったようで、絶縁が不十分だった、イグニッションコ−ドとともに交換となり ました。部品代が16200円。工賃が11200円。手間と技術を考えると、激安の値段で完治 しました。(全く、すばらしいディ−ラ−です。)


4. ついでに、プラグも交換
V12には当たり前の事ですが、プラグが12本着いています。
そして、普通の人には絶対に手が届かないようなところにプラグがついており、こんなところにつ いているならメンテフリ−の白金プラグかというと、さにあらず。普通のプラグなのです。
ディ−ラ−のフロントのお話では、渋滞の中では、プラグの寿命はせいぜい1万キロとのこと。 太郎2号のプラグも、前回交換から、わずか7千キロ走行でしたが、もう寿命でした。
サンデ−メカいじり好き(いじりこわしともいわれているが)の私としては、プラグ位自分で替え たいところですが、手持ちの工具で取り組んでいると3日3晩位かかりそうなので、交換をお願い しました。部品代7080円、工賃は4000円でした。

さて、飯村さんお手紙ありがとうございました。くだらない話を読んでくださっている方がいらっ しゃるかと思うと、とてもうれしいです。

次回は、「ついに出た。コンピュ−タ−交換。やまそう自己破産か」の巻きをお送りします。
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