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第9話 「DIYメンテその9− リモコン/セキュリティー・システム取り付け体験記パート3」

(作成:1997年8月23日 改訂:1998年2月13日)

(TEXT & PHOTO : サモア320i / E36-320i)
§第6章 補完計画

じつはこの時点ですでに私は機能の追加を企んでました。それは、
1.リモコンの作動時にはごく短い時間「キュイン」とサイレンが鳴って動作確認ができる のだが(消音モードにも設定可能)アラーム作動時と同様にハザードの点滅もして欲しい。

2.せっかくだからトランクとリヤ・ドアの配線もなんとかしたい。

3.どうせならドアのロックだけじゃなくてウィンドウも自動的に閉めて欲しいぞ。


というものでした。
2は左右のスイッチを並列につなぎ直して、使わなくなった片方をトランク用に流用すれば 比較的楽にトランクの配線をフロントに回せそうな気がしましたが、1と3については追加 で回路を組む必要がありそうでした。
すでにハザードの配線についてはハザードスイッチか ら取り出してあり、その線をアースすればその間だけハザードが作動することを確認してい たのでリモコンのアンロック出力でリレーを駆動してアースに落とせばよさそうな気がした し、ダブルロックはロック出力をダイオードで分けてダブルロック線に入れればいいらしい ことが海外サイトの情報のなかにあったのでそれを試してみることにしましたが、ウィンド ウのクローズについては頭を悩ませました。
リレーを使おうという発想からもわかるとおり、 私はデジタル回路の知識なんてまるで持ち合わせていないし、ましてやウィンドウが閉まる までの間+12Vを保持し続けるためのタイマー回路なんて見当もつきません。
とりあえずコンデンサでも入れればちょっとは+12Vを保持できるかな?とは思ったものの、必要な 容量の計算方法もよくわからないのでウィンドウについては保留のまま追加回路の作成にと りかかる事にしました。
幸い手元に昔むかしに買ったユニバーサル基板と12Vのリレーが あったので、それを使って適当に回路を作ってみました。
もちろん回路図なんて書いてません。
というか正確には書き方がいまいちよく分からないので全部頭の中で構成しました。
ダイオードは普通のは手持ちがなく、赤色の発光ダイオードがいくつかあったのでそれで代用 することにしちゃいました。
かくして出来上がった回路はキボシ端子の入っていたプラスチックケースの空き箱につめこ まれ、めでたく零号機の完成となったのでした。
できあがった回路を車に持っていって接続し動作確認を行うと、いともあっけなく動いてし まいました。
ハザードはロック/アンロック時共に1回点灯。
ダブルロックもきちんと作動。
アンロックも問題無し。
意外に簡単にかたずいてしまったので、気持ちはすでにウィンドウへと動いてました。



§第7章 エマージェンシー・コール

E36セダンのウィンドウは4枚とも全開の状態からキーで全閉にするまでにはすくなくと も8秒くらいはかかるようなので、余裕をみて10秒程度まで設定可能なタイマーが必要で した。
幸いにも東急ハンズで汎用のタイマーキットを見つけたので今回はそれを利用するこ とにしました。
同時に当初の予想に反してコネクターの接続部分が妙にゴテゴテしているの と、仮配線だからどうでもいいやということで適当な線材を使った配線していた点を改良す べく、小振りのコネクターと線の太さの割に容量に余裕のありそうな耐熱被覆の線材(UL 規格)も購入し、意気揚々と家路につきました。
タイマーキットを組み立てて配線やコネクターの取り付けをすべてやり直すと、すでに明け 方になっていたのですが、一刻も早く試してみたくて車に持っていき取り付けました。
が、結果はNG。
部屋でバッテリーにつないで試した時にはきちんと動いていたタイマーが車載 状態では作動せず、うんともすんともいいません。
その場で配線を再確認してみたものの、原因不明。
ハザードの機能を使わないようにすれば動くようなのでアースの取り方がおかし いのかなとは思ったものの、すでに眠気で頭がハイになっていることもあり、しかたがない ので一旦あきらめて部屋にもどり熟睡。
そう。それはその日の夜の出来事でした。
保土ヶ谷バイパスでおかまを掘られ、車は入院。 リモコン取り付け計画はまたも無期延期となったのでした。(@_@;

数週間後、ようやく車が戻ってきたので試乗を兼ねて実家まで用足しに。
帰りに車のエンジンをかけようとキーをひねるも全くかからない。
とりあえずヒューズボックスを点検してみましたが、点検可能な部分は切れている様子はなし。
セルのギアの飛び込みが悪いのかなと 思い車を押して少し移動してみた(オートマ車でこの方法が有効かどうかはあやしい)がや はりだめ。
しかたがないのでBMWのエマージェンシー・コールに携帯電話から電話して症状を話し、 アドバイスをもらうとバッテリーがあやしいとのこと。
修理入院中に車検整備も頼んであったと話したら、整備ミスの可能性もあるといわれた。
実家のマンションの来客用の駐車スペースなのでそのまま翌日まで放置するわけにもいかないので レッカーを手配してもらうことになってしまった。
レッカー手配を待つ間、なにか自分で出きることはないかと 思案しながらトランクを開けようとすると、...開かない。
「あれ?」っと思った次の瞬間に頭のなかですべての謎が解けました。
そう、車はダブル・ロック状態だったのです。
実は駐車スペースの関係で車をとめたときに運転席側はフェンス ぎりぎりだったために助手席から乗り降りをしたのですが、助手席側のロックはリモコン用 に配線をはずしてあるため、ドアを鍵であけても他のロックは全く解除されないのです。
おまけにどうやら助手席のドアを開けるときにキーをどちらに回すのかとまどって、一旦ダブ ル・ロック側に回してしまっていたらしく、他のドアはダブル・ロック状態になっていたの でした。
すぐに運転席側のパワーウィンドウを開け、ドアロックを解除してキーを回すと、 エンジンは何事もなかったかのように一発始動。
あわててエマージェンシー・コールに電話して事情を話し、レッカーの手配を取り消してもらいました。
BMWの今まで知らなかったセキュリティ機能を発見して関心しつつも、電話の向こうでは 対応した人もくすくす笑ってるし、まったく恥ずかしかったです。
後日ディーラーに出向いたときにサービスの人と話し ていたら、入庫中も配線をいじってあったために故障と判断してSFWでの修理作業をしよ うとしたら配線がいじってあったので取りやめたとか、エンジンがかからなかったとか、 「あんまり変なことしないでください」とかいろいろいわれてしまいました。(^_^;



§第8章 初号機再起動

助手席の配線ジャックの弊害を克服するため、追加回路を全面的に見直すことにしました。
改良点としては、

1.リモコン作動時以外は助手席のロック/アンロックの回路はオリジナルどおりに作動す るようにする。

2.ウィンドウ・クローズ時には万一の安全を考慮して、アンロックボタンを押したらその 時点でウィンドウがとまるようにする。

の2点です。
零号機の改造では部品の配置等むりがある部分が多かったため、あらたに基板 を起こすことにしました。
1はオリジナルのロック/アンロックの配線をリモコンのアンロ ック出力でリレー駆動することによって切り替えることとし、2はダブルロックへのタイマ ーからの出力をアンロックと同時にカットしてタイマー自体もその時点で止めてしまう事に しました。
今回は前回より回路が複雑になるため一応本人だけわかる回路図(^_^;を簡単に 書いて机上での検討をし、初号機作成にとりかかりました。
前回零号機でタイマーが機能しなかった原因はいまだに不明のままでしたが、とりあえず出 来上がった初号機を車に取り付け、動作確認を行うことにしました。
ロック/アンロック、ハザードは正常に作動。
しかしながらタイマーはあいかわらず動かない。
ダブルロックはタイマー出力とは別にロック出力も入力しているのでOKでした。
頭をかしげながら回路を点検し、一部クリップで補助的に配線を直結しながら動作確認を続 けてていたら突然火花が...またやってしまいました。どうやらショートさせたらしい。
学習効果の無い自分に腹をたてながら部屋に戻ってみると基板のリレーのうち1つが完全に 焼けていました。
がっくり。
...すでに手持ちの部品がなかったため、やむを得ず零号機 の基板からリレーを取り外して初号機に移植することにした。
タイマーのほうはどうにもよくわからなかったので、怪しそうなところに発光ダイオードを いれまくってみることに。
再び車に戻って取り付け。
全部のウィンドウを全開にしてロックボタンを押す。
作動確認のアラーム音と同時にドアがロックされ、同時にハザードがついた。
次の瞬間、リヤのウィンドウが閉まりはじめ、続いてフロントも閉まった。
「やった!」そう思い何度か動作確認をしてみましたが、どうもシンクロ率が...いや作 動確立がパーフェクトにならない。
まだタイマーが動くときと動かないときがあるのだ。
「いったいなぜなんだろう?」と基板とにらめっこ。
発光ダイオードを付けたためタイマーへ電源が供給されているのは目で確認できる。
..ってことはスタンバイ中もずっと電気食っるわけだ。
...これはまずい。
アラームユニット本体はバッテリーの消耗を軽減するために、36時間たつとインジケータの 点滅をやめるほど省電力設計になっているのに、追加回路がずっと電気食ってたんじゃ バッテリーが心配だ。
以前、バイクにアラームを取り付けていてバッテリーあがりを経験しているので妙に 不安になってきてしまった。
さっそくなにかいい方法がないか検討した結果、タイマーは自分自身で自分の電源を入れる ようにすることにしました。
もともとタイマーの電源は+12Vだし、ダブルロックへの出 力も+12Vを直接スイッチングしているので、アラームのロック出力で一瞬だけタイマー を起動し、あとはダブルロック用の電源で自分自身を駆動させるようにした。
これだとウィンドウのストップも電源をカットするだけでよくなるし、都合のいいことにタイマーのトリ ガーを最初からアースしておくと、電源ONと同時にタイマーが動くので全体的にシンプル になりました。
この改良が功を奏したのか、初号機はそれ以降ほぼパーフェクトに再起動 されるようになりました。
なぜ「ほぼ」なのかというとエンジンを切ってから時間がたっているときちんと動かないことが あるからなんだけど....ま、この件はそのうち原因を追求してみよっと。
ちなみに写真は今回取り付けたリモコン/セキュリティ・システム(P/N #82 11 1 469 444) と改造したE36のセントラル・ロック・モジュールならびに作成した追加回路です。


alarm


§エピローグ

現在のところ、リヤ・ドアとトランクの配線はまだ手付かずの状態のままになっているしタ イマーも完全ではありませんが、実用上ほとんど問題がないのでそのまま使用しています。
実はアラーム装着後、2回ほどドアに損傷を受けてまして、1回目は駐車場で当て逃げ、全 治17万円の見積もり、2回目は駐車中に何者かにドアを蹴られました。
幸いBMWのドア は丈夫なのでドアに付いていた足跡(このあたりの猫の足のサイズは25cmくらいあるら しい)の割にはたいした事はなく、光の当たりかたによっては若干へこみがあるかなという 程度ですみましたが、いやはや物騒な世の中です。国産車だったら前後のドアともにべこべこ にへこんでいたことでしょう。
いやぁ、最近の猫は脚力が強いんですねぇ...
え? 猫じゃなくって人間の仕業じゃないかって?
いえいえきっと巨大な化け猫の仕業ですよ。
普通、人間はそういうことはしませんから。

あ、でもそれじゃ一緒にされた猫ちゃんがかわいそうか。:P
というわけで、現在振動感知型のセンサーとの併用を検討中です。
アラームのセンサーのうちボンネットのスイッチはわたしのE36にはないので現在使っていないの ですが、この線をアースに落とせばアラームが作動するので、以前にバイク用に買った振動感知型のアラー ムの出力を利用して2つのアラームをドッキングしてみようかと計画中です。
また、この方法を利用すれば、たとえば外装パーツなどの盗難防止に断線リレーを作ってその出力でアラ ームを駆動する等の応用もできそうです。
まぁ、治安の悪いところからは早々に逃げ出して、車庫付きの一戸建てに引っ越した方がよ っぽど安眠できそうな気もしていますが。...

(とりあえずおしまい)
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