[メンテ16]
(←前)
(次→)
第34話 「再度調整後の FFT解析の結果」
(作成:1998年1月5日 改訂:1998年1月6日)
(TEXT : E39EXE3 / E39 528i )
第26話後の再発後もうやらないの件で、私もどうしてこうなったかか考えて見ま
した。
前回の測定で、路面の振動ではない周期振動がでていることから、基本的に
はシャーシ関連の問題と確信しましたが、全くだめとは思っていませんでした。
そういうことから色々調べてみますと、バランスのとりかたにも色々やり方があるこ
とが解りました。
裏を返せば、単純なバランスでは直らないケースがある為、いわゆる業がでる
分けです。
又、さらに言えば、車種によっては、シャーシ関連のセッティングによっては、
多少のアンバランスでも車体振動が出易いことになります。
今回の場合、特にNEW5シリーズに多い事からこのアルミサスのデメリットが、特に
日本仕様において発生していることと考えられます。
ただ今回のようなはっきりとした、タイヤ周期の場合あらゆる面での完璧
なバランスが実現すれば、振動は発生しないことになります。
但し完璧なバランスなどは、弾性体においてありえないないのです。
バランスは単純な物ではなく、複雑で3次元的な要素や、密度、弾性係数等も
からみますアンバランスは必須と考えて取り組む必要があると考えました。
そういう意味では、ここではいかに、通常の単純バランスと、真円度を高くするか
が、重要ポイントとして、もう一度きっちり取り直してもらう様、再考をお願いし
ました。
一度は断られたのですが、今までの報告と測定データ、バランス関連資料
を見てもらいながらお願いし、再度チャレンジしてもらうことになりました。
ディラーのかたにも乗ってもらい、再度状況を確認し、時間とともに変わる現状を
理解してもらいました。
即ち、今回乗った状態は前の状態より悪化しており、振動を理解できた様です。
(この件に関しては少しタイヤの空気圧を10%程度落とした状態です。
これは高くすると硬質な振動になって同乗者が不快な思いをしたので、
下げていました。)
今回は振れのデータやバランスも位相をずらした取り方と、さらにオンザカーに
よる微修正を伴う作業をおこないました。
その時の調整前と 後のデータを下記します。
オフザーカーバランス
(単位gで「かっこ」は取り付けてあった又は取り付けたウエイトです。)
調整前 調整後
FRONT R IN FRONT R OUT FRONT R IN FRONT R OUT
12 (15) 1 (25) 0 (25) 1
@(25)
FRONT L IN FRONT L OUT FRONT L IN FRONT L OUT
5 (10) 3 (0) 2 (15) 2
(5)
REAR R IN REAR R OUT REAR R IN REART R OUT
3 (0) 3 (20) 1 (5) 5
@(15)
REAR L IN REAR L OUT REAR L IN REART L OUT
6 (15) 3 (10) 0 (20) 3
@(20)
となります、位相も少し異なりますから、あくまで参考ですのでこれによるはっき
りとした見解は出来ません。
但し、大きく違うのはフロント右だけです後は誤差の範囲でしょう。これが問題で
しようか?
その後さらにオンザカーで
FRONT R 25を30に
FRONT L 5を0に
REAR R 15を30に
REAR L 20はそのまま
に変更したようです数値からすると外側のウエイトを変えたようです。
この測定から最終バランスはオンザーカーとなり、取り付けバランスもかなり異な
ることから、最終的にはこの調整が影響力を持つ形となりました。そういう意味で
は位相をずらしても、以前行った結果と何ら変わらないはずです。
異なるのは、コンチで十分エージングをしてから、きちんと調整したことが今まで
と異なる事です。
試乗結果は、以前のものより随分良くなっていました。またデータを添付します。
測定値は以下で10回程度測定し常に同じ周波数成分が発生している部分をピーク
とした。
◆100キロ
体感周期振動僅か許容レベル
13ヘルツ26ヘルツ37ヘルツにピークあるが、輝線スペクトルがなく分散傾向。
平均振動に対する差は4.5倍 −43デシベル対−58デシベル
◆120キロ
体感周期振動あり 何とか許容レベル
17ヘルツに大きなピークがあるが、2次振動が前回と比べ分散平均振動に対する
差は6倍 −39デシベル対−55デシベル
沢山のデータ取りましたが情報が多いので割愛した結果は以上です。
測定データを参考にしてください。
これからわかることは、完全にタイヤ回転周期に同期した1次振動、2次振動が
でていますが今回は2次振動が少ないことです、又比較的分散したスペクトラムを
示すことと、絶対値も小さくなったことから、アンバランスの量と、その本数が減
ったのでしよう、これにより体感しにくくなっています。又今まであったハンドル
のぶれは完全になくりました、もちろん手放しでも振れません、全体の振動レベル
は過去の528のどれよりも良くなっていると感じました、但し525のタイヤと
比較すると同じ程度ですね。E39全体では2番目ぐらいでしようか、今の状態が続く
ことを願ってます。
色々ありましたが、現時点では今の結果に多少問題もありますが、前回よりも随分
良くなりましたので満足しています。今回調整して頂いたかたにお礼を言いたいで
す。
これによってバランスが最大の問題であり、今回のことで少し前進したと思います。
総括すると以下になります。
1.バランスはある程度走行した後で(数100キロ)再度バランスをとる。
2.バランスは位相をずらしても測定値に変化が無くなるまで追い込む。
3.最終的にはオンザカーをとり大きい変化は取り除いてみる?
4.タイヤの全振れ(サイドウォールもふくめ)はレンジで最大1.5mmまで追い込む。
5.測定機は精度の高いものを使用し、正規のセンター出し治具を使用する。
6.信頼出来るところにお願いする。
7.本車体の場合、バランスの影響を非常に敏感に受けすい。
8.一般に走行ごとにバランスが微妙に変化するが、
E39の場合最初調整したものが永続的に続くことはない。
9.技術にもよるが、この現象は調整によって十分少なく出来る要素を持っている。
10.少なくともハンドルが多少でもブレるようであれば、上下振動もでており、
1〜5項は取れていない。
11.調整しだいでは、ストレスのない高速走行が実現できる。
12.路面や、空力的影響、又ドライブシャフト等で今回の振動は発生していない。
13.こういった振動はこの車の性能ではなく正常な状態ではない。
最近のこの振動に対する国産メーカのレポート抜粋を以下に載せます、国産は前
にも書いたように、これは安全運転するために、重要と判断しており、特に環境問題
や、安全に関するドイツが関心を示さないのは、不思議でなりません。
走行時の「疲れにくい」という感性の対象となる物理量は,当然,振動である。
同社は,疲れない振動成分を探るため,大学の医学部に調査を依頼した。
その結果,内蔵の共振点が8Hz。
l0−20Hzは視力の低下をまねく周波数領域であることを知った。
その後,実験を繰り返し,10〜20Hzの振動をなくせば疲れないことを発見した。
もちろん,「60q/hでは8Hz,100km/hでは10−20Hzが発生し
やすい(同社研究所車体設室)ということも調査済みだった。
設計は,いかに5一20Hzの振動を抑えるかが目標になった。
そのために,静的ばね定数を従来より15%程度下げるとともに,
動的ばね定数(ばねの固有振動数)を変えることで,
目標の周波数域の滅衰力を高めた。
特に8Hzの減衰を従来に対して50%向上するように,ばねをチユーニングしている。
コンピユータシミュレーションを使い,7種類あるばねの形状,径,かしめる位置などの
組み合わせの最摘化を求めて対応した。
又 最近では低周波数振動に伴う音の問題もクローズアップされています。これは
聴覚の聞き取れる範囲を超えているので比較的分からず、しらず知らずのうちに、
ストレスが溜まるというものです。
具体的には、目の色力が変わり、副腎皮質ステロイドホルモンが出て、ストレス
が発生。
視床下部の下垂体に対しホルモンを出し疲労し、正常な機能を得られないという問
題です。これに関しては国産タイヤメーカは認識しており、タイヤ作りに注意して
いるようです。
これらは知らないうちに起きますので皆さん高速では十分休み休み運転してくださ
い、危険です。私は、全く元気でしたので振動がある状態にもかかわらず300キ
ロ走しりましたが、SAで休んだとき、視点が定まらなく、まっすぐ立てない状態に
なりました。もちろん振動だけの問題ではないと思いますが、関係はないとは言え
ないでしょう。
今回の10ヶ月に渡る、格闘の結果と皆さんの声からのデータを生かし、本国、JAPANで具体
的にアンバランスに対する、許容値アップ対策を早急にをおこなっていただけることを
お願い致します。
基本的には、共振周波数が問題と思いますので、サス周りのすばね定数やダンピン
グ係数、質量等の変更、又は、タイヤ、ホイールの変更等で対策出来ると思います。
この振動も走行距離に影響されますので、変化が有りましたら又書きこみます。
[メンテ16]
(←前)
(次→)