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第4話 「Z1とは?・・その3」

(作成:1998年7月13日 改訂:1998年7月28日)

(TEXT : 三四郎 / Z1 & E36-328i )

三四郎です。このコーナー、すっかりご無沙汰してましてすみませんでした。
最近、メンテコーナーが取り持つ縁で、アルピナZ1オーナーの方とお会いすることが 出来ました。
BOHPのネットワークはすごいですね。
先日、初回ミニオフミ&親ばか大放談会を開催しまして盛り上がっています。
ということで当日の模様も近日中にご披露しますね。

さて、Z1とはどんな車なのか?。もう少しお付き合い下さい。


9.車体番号および製造年

Z1は生産台数が少ないこともあって、フロントメンバーのところにあるシャーシーナン バーの末尾の7桁のシリアル番号により容易に製造年が分かります。生産は全てミュンヘ ンの本社工場のようです。

  製造年  シャーシーNo. 生産台数 累積生産台数
  1986/87 AL00001〜AL00012    12     12
  1988   AL00013〜AL00070    58     70
  1989   AL00071〜AL02470   2400    2470
  1990   AL02471〜AL06561   4091    6561
  1991   AL06562〜AL08012   1451    8012

年式による仕様の差異があるのかどうかは、研究不足でよく分かりません。ドイツ語版の 説明書のコピーが2つのルートから手に入ったのですが、ドアの安全機構の説明が多少 違っていました。一方はドアハンドルにメカニカルロックが内蔵されているタイプ、他方 は別途安全スイッチがコンソール後部に装備されているタイプの説明になっています。た だ、後者のタイプは発表当時の雑誌や関連書籍の写真をみても1台もありません。後者の 仕様を記載している説明書の表紙が最終プロトタイプの写真(キドニーがシルバー仕上 げ)になっていることから推察すると、市販された生産車は全て前者のタイプに統一され ているのかもしれません。なお、海外のサイトの情報などでは、オーディオの形式とかリ ヤパネルの形状などに微妙な差違があるそうです。
因みに、三四郎号はAL019××で89年後期の生産ですが、国内の登録は91年が初年度に なってます。この間どこで何してたのでしょうか?なお、購入時点に履いていたピレリタ イヤの製造ロットは4本とも89年の第40週近辺でオリジナルのままで、シャーシーナン バーが示す製造年ともほぼ一致していました。

なお、ボディの塗色ですが、赤、ファンイエロー、グリーンメタリック、黒の4色が基本 色で、生産後期にはメタリックブルー、メタリックパープルが追加されてます。色別の生 産台数ですが、黒2560、赤2240、グリーンメタリック1680、 メタリックパープル800、メ タリックブルー 640、ファンイエロー 80となっているようです。また、シート等の内装 ですが、基本はグレーのレザー(バックスキン)で、外装が黒、ファンイエロー、メタ リックグリーンはクリーム色のレザーとファブリックのコンビも選べました。


10.おわりに

さて、最後に、Z1の購入を考えている方もいらっしゃると思うのですが、あくまで個人 的な印象ということで、最近における市場動向などについて少し書いてみます。
Z1はボディーパネルの生産効率が非常に悪く、発表からしばらくはドイツ国内でもかな り品薄感が強かったようで、折りからのバブル景気も手伝って国内に入って来たのときの 価格はとんでもない値段が付いていました。その後のバブル崩壊によりこうした車の取り 引きも一時停滞し、しばらくは殆どマーケットに姿を現して来ませんでしたが、最近は 時々見かけるようになり、ここ1〜2年の広告を見てきた感触では、国内市場でも程度の 良いものは下げ止まり感が出てきているような気がしています。

また、ドイツ人のライター(Eberhard Kittler)が書いた“Essential BMW Roadsters and Cabriolets”という昨年刊行された書籍によると、ヨーロッパの愛好家マーケットに おけるZ1の評価は、Z3の登場とその成功に伴い近年とみに高まっており、本書が刊行 された‘96年の時点で50,000DM(約350万円位でしょうか)以下で手に入れるのは困難 とありました。また、どうでもよいことではありますが、「1950年代以前のBMWほどで はないが、今後価格が上昇することは“safe bet"である」とも書かれています。
最近の英国の雑誌などを見ますと、個人売買で20,000〜25,000ポンド(約450〜550万円) の値が付いており、高い人気を維持しているようです。
ところで、上記書籍によれば8,000台のうち8割以上がドイツ国内で販売されたそうです。 また、購入先によれば日本には多くても100台程度しか入ってないのではないか、との話 でした。

バブルの頃にこの車を手に入れた人たちは、BMWの愛好家達というよりも新しいものが 好きなお金持ちの人たちが多かったのではないかと思われます。中には投機目的で購入し た人たちもいたかもしれません。値段がこなれて来た今、これからZ1を手に入れる人た ちは、本当にBMWを好きな人たちが多いのではないでしょうか。そうだとすると、市場 に出てきた車はそれぞれ落ち着くところに落ち着いてしまい、それでなくても国内登録台 数が極端に少ない車ですから市場に出て来るチャンスもそれほど多くはないのでは、とも 思います・・。無理して購入に踏み切ったのも、オリジナルの状態で程度の良いものを探 すのは、ここ1〜2年が一つのチャンスかもしれないと思ったからです。

流通台数が少なく趣味性の高い車は、どうも骨董品の類に似ていて中古車流通業者が一儲 けする材料になっているようです。バブル崩壊で一時的にそうした動きは沈静化していた ようですが、いつまた再燃するとも限らないという感じもします。自動車市場が極端に低 迷している現在の状況は、自動車好きには願ってもない機会かもしれませんね。

さて、最後は取り留めのない話になってしまいましたが、何がしか購入の参考になれば幸 いです。

次回は大放談会の模様をお伝えします。


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