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第90話 「ファイナルステージ修理」

(作成:2003年6月29日 改訂:2003年7月16日)

(TEXT & PHOTO : E34BM小僧 / E34 525i)


E34定番の故障の1つに「エアコンの風量が調整できなくなる」と言う故障があります。
1:ダイヤル(レバー)を操作しても中間風量で風が出ない。最大風量でしか動作しない。
2:ダイヤル(レバー)がどこにあっても最大風量しか出ない。

などこと「風量」に関して不具合が起きる事があります。
この場合過去の事例から「ファイナルステージ」又は年式によっては「レジスタ」 なる部品の故障が多いです。私ももれなく仲間入りです(笑)

私の年式95年は「ファイナルステージ」と呼ばれる物で通称「刀(カタナ)」と言います。
刀みたいでしょ?(黒いカバーを外した状態です)

 E34BM小僧

ダイヤルを回しても中間風量が出ないです。最大風量しかでません。

実はこのファイナルステージ(以下刀と呼びます)は国内価格で約3万円です。
個人輸入でも送料を合わせると価格差2千円もありません。┐('〜`;)┌
う〜ん、、どうしよう、、、
と言う事でE34軍団の「電気の神様」こと、岩野さんにご相談したところ
「修理してみた実験用の刀があるよ。未確認だけど試してみますか?」と言われましたので 試すことになりました。

交換作業なんですが、、大変と言えば大変ですが私にも出来たので何とかなると思います。

 E34BM小僧

センター側足元のパネルを外します(ネジ1本)

 E34BM小僧

赤いボタンは関係ありませんが写真に写っていて茶色のパネルに止まってるビスは 3箇所を外します

 E34BM小僧  E34BM小僧

足元も3箇所ネジを外します。
そうしますとパネルが外れます。
スピーカなど小物もぶら下がっているのでパネルを完全に外すには残り適当にコネクタを外します。
(パネルを完全に取り除かなくても作業は出来ますが無ければ無いで楽です)

 E34BM小僧

ヘンテコはエアダクトも外します。

 E34BM小僧

見えてきました。1つ目のトルクスを緩めたところです。

 E34BM小僧

コネクタ(5ピン)を外します。耳がありますのでその耳を摘んで引っ張ります。

 E34BM小僧

2つ目のトルクスを外しますがこれが手が届きにくく少々厄介です。
トルクスビットの刺さっている所がネジの場所です。

 E34BM小僧

引っ張り出します、、、が!右ハンドルの場合ペダルが邪魔!邪魔!
抜くのは抜けるんですが、逆に入れる時はペダルを押し込んで置きながら 入れないと結構大変です。

 E34BM小僧

では、岩野さんにお借りした刀を試して見ましょう。
差し込む前にコネクタを挿して動作確認です。
イグニッションオン!、、風は?、、、、出ねぇ、、、
「出ませんねぇ、、岩野さん?」
「FETじゃ無かったのかなぁ、、」

残念ながら駄目でした。
と言う事で急遽E34軍団オフミ部長のTAMOさんから 91年の535に付いていた手持ちの刀を購入し何とか事なきを得ました。

今までの定説で刀の故障はMOSFETとされてきました。

 E34BM小僧

これ以外に原因があるとは、、、、、
で、私も一応エンジニアなので少し見てみる事にしました。

 E34BM小僧  E34BM小僧

ネジを外して行きます

 E34BM小僧

カバーを外しと基板が出てきます。
かったっぱしからもう一度半田付けしてみました。

動作させましたがやっぱり動きません。

 E34BM小僧

「お前だろ!」ちゅー事で写真中央の黒いLSI(コンパレータ)を交換してみます。
(交換に際して岩野さんが起してくれた回路図を参考に部品の特定をしています)

 E34BM小僧

交換終了です。
さぁ今度こそ動いてくれたまえ!
イグニッションオン!、、、、、、、、
出ませんね、、、、ガクッ、、

と言う事であえなく終了です。
素人には無理でした、、、(諦めはやっ!)

ところが!!後日岩野さんからの連絡で 「手持ちの不良の刀が全部動作した」と連絡を受けました。
なんと岩野さんは刀の動作を確認出来る冶具を製作していました。(良くやります(笑))
冶具を使って中間の動作波形をオシロスコープを使って解析していたようです。
(仕事いつしてるんですかぁぁぁぁ?)
情報によりますと先ほど交換した黒いLSIの周りに「コンデンサ」なる物が 付いているのですが、これの接触不良又は破損で風量がコントロールできなくなるようです。
(正確にはこのコンデンサが原因で黒いLSIが正常に動作しなくなると言う事です)

早速コンデンサを交換してみました(フィルムコンデンサ 0.47u)

 E34BM小僧

交換後です。
グレーのコンデンサの代わりに茶色いコンデンサが実装されています。

ではではイグニッションオン!!!!
ブワァーーーーーー!!!!!風がぁぁぁぁ!風がぁぁぁぁあ!
出ます、出ます中間風量!!!!!!!!!
う〜ん素晴らしい!!岩野さんは凄い凄い!

さて好き勝手に書きましたが少しまとめを、、

1:刀の修理は基本的に安い電気部品で可能である。
(:コンデンサ:5円くらい コンパレータ:100円もしないかも FET:100円しないかも)
2:多少半田ごてを持った事のある人なら可能。
3:右ハンドルの交換は手間。
  
さらに補足ですが 今回修理に当たって色々な方からアドバイス頂いたのですが この刀はもの凄く熱くなります。最初にお見せした写真の金属の部分を ヒートシンク(放熱板)と言いますがこれが「熱くて触れないかなぁ〜」 ってくらい熱くなります。
放熱はマイクロフィルターを通過した空気がヒートシンクに当たります。
もし、マイクロフィルタの目詰まりで空気が少なかったら放熱効果も悪くなるようです。
放熱が悪いとFETが壊れやすくなります。逃げない熱が基板まで回ってきて 基板上の電子部品も辛くなってきます。

もちろん経年劣化もありますが放熱は重要です。
マイクロフィルタの定期的交換は結構大事かもしれません。
(あくまで推測ですけど)

 E34BM小僧

刀のパーツ番号です。
2種類ある方の新しい番号です
古い番号でも動作に問題は無いです。
年式に関わらず両方付きます。

作業及び部品購入に起きましてはあくまで自己責任でお願いいたします。
m(._.)m ペコッ


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