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第11話 「我が家にBMWがやって来た!」

(作成:2001年10月22日 改訂:2001年10月23日)

(TEXT : kuma3 / E21-320i )


 “バイエルンの山猫” E-21系320iA 再生物語
Vol.1:‘92年3月号 『我が家にBMWがやって来た!』




 型式:C-320 車体番号:507**** エンジン型式:204EW1 元は赤色だったのを初代オーナーが 紺色に全塗装を施した上、ついでにZENDERのフル・エアロを装着した車を知人が譲り受け、私で 3代目のオーナーになります。知人からの申し送りは意外にも「60km/h以上は出さない事!」 (無論、警察関係の方ではありませんが)。アウトバーンで鍛えられたBMWがなぜ?という疑念は、 試乗してみてわかりました。50km/hを越えるとステアリングがブレ始め、70km/hを越すとどこに 飛び込んでもおかしくないほど車体全体が嵐にもまれる木の葉のようにシェイク、シェイク!! ボディ外観は年式のわりにしっかりしている(左右のドア腰下に錆によるニキビが数ヶ所ある程度) のに、廃車を依頼されたワケがわかりました。


我が家に来た頃の320iはこんな感じでした。野外で見るとポイント高そうですが…

 「極力、作業場内に持ち込まない(本業に差支えるから)」と「自力でレストアする事(尋ねられても わからないから)」を条件に父の承諾を得て、我が家にBMWがやってきました。家内には 「子供達が成長したらCITYでは狭すぎるし、本国のドイツでは“ファミリー・カー”だよ(ちょっと無理が ありますか?)」と説明したのですが、『速度限定・強制安全運転車両』で、果たして無事に旅行 できる?? “バイエルンの山猫”は人に甘える事を知らないボロボロの『野良猫』でした。 (もっとも、受け入れる側としてもどのように接してよいのかわからず、戸惑いと緊張があったせいも ありますが…)


同時期のエンジンルーム内はこんなでした。なんだか、少し疲れているようですね。

 90年3月の整備記録簿によると排ガス濃度はCO・HCが3.5%・620ppmという信じられない数値。 息も絶え絶えにやっと生きているといったところ。キャタなしのANSAマフラーを装着しているにせよ、 ひどいです。一度に全てをレストアするには費用も時間もないので『走る・曲がる・止まる』の中で 一番、安全に関わる『止まる』からレストアに着手。ブレーキ関係のゴム製パーツ、パッド、シュー、 エンジンの油圧スイッチ、エアクリーナ・エレメント、ファンベルトなど通常の車検で交換する部品を 中心に手を入れるうち、走行時の乱振動の原因が判明しました。


'01年10月現在のエンジンルーム内です。どこが変わったかわかりますか?

 E-21系の320iは5.5J×13(OFF SET+20位)ホイールに185/70-13のタイヤが純正サイズですが、 当車では6J×14(OFF SET+30)ホイールに前185/70-14、後195/70-14というトンでもないサイズ が装着されていました。前は3分山程度にちびてましたが、ハンドルを目一杯切り込んでのターン インでフロントが沈み込む場合にはフェンダー内側に干渉していましたし、OFF SETの差を解消する ために2まい重ねで入れられたスペーサーのおかげでハブのセンターとホイールのセンターが大きく ズレていておまけにホイールボルトは16本が5種類に分けられるチャンポン状態で、通常の速度域 でもマトモに走れないわけでした。

 ホイール内側とタイロッドエンドが干渉しない、ぎりぎりのスペーサーを調達し、100km/h位で走行 できるようになるのは、まだ先(約10ヶ月後)の話。フロントはホイールベアリングのキャップにあう 内径の塩ビ管をはめてホイールのセンターを合わせて組む(なんて原始的な方法!!)事により、 80km/h以下ならほとんど振動や横滑りも無くなりました。ハンドルを指1本で支えながら、320iとの 距離が少しだけ縮まったな…と初めて思えた時でした。排ガス濃度もCO・HCが1.6%・100ppm位に 落ちつき、ほころびかけたシートにもTシャツを着せて、少しずつ遠乗りへ…。BMW本来の走りに 程遠いのはわかってるけれど今はこれで精一杯。
でも、いつかは…。それって、いつ??

〜 続く 〜


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